ドラ6岩崎が投壊止めた!初登板初星や
「阪神15‐0中日」(2日、京セラ)
待望の救世主が現れた。阪神のドラフト6位・岩崎優投手(23)=国士舘大=が5回無失点の好投でプロ初登板初先発初勝利。球団では07年の小嶋以来の快挙でチームの連敗を止めた。ルーキーの奮闘に打線も爆発。先発野手全員安打の16安打今季初の2桁得点となる15点。さあ猛虎のお目覚めだ!
夢にまで見たプロ初マウンドに、岩崎が立った。岩田に代わり、急きょ巡ってきた舞台。誰よりも輝きを放ったシンデレラボーイはプロ初登板初先発初勝利の快挙を成し遂げた。
「まさか自分がこんな時期に勝てるとは思わなかった。素直にうれしいです」
この日、最も緊張したというお立ち台。勝利の味を存分にかみしめた。ファンの視線を浴び、戸惑いながらも最高のはにかみ顔を見せた。
マウンドでも緊張した。初回先頭からセットポジションに構えると1球1球、投げる前にフーッと息を吐いた。とにかく落ち着こうと。1死から荒木の三遊間への打球を、新井良が好捕。「あのプレーで試合に集中できました」とバックにもり立てられながら、快投を続けた。
三回に最大のピンチを迎える。2死二、三塁で強打者・ルナと対峙(たいじ)。3ボールとなり「開き直った」と最後は外角高め直球で右飛。気迫で危機を乗り切った。
小さいころから頑固で負けず嫌い。保育園でのお遊戯会が大嫌いだった。周りが、いくら説得しても断固拒否。「嫌なことは絶対にやろうとしませんでした」と母・恭子さんを何度も困らせた。それでも、リレーになると自らハチマキを締めて激走。好きなことは、負けたくないと全力で取り組む少年だった。
だからこそ、一番好きな野球で負けたくなかった。五回2死から大島を中飛に打ち取るとグラブをバシッとたたきマウンドを後続に託した。必死で刻んだ「0」を先輩らが紡いでくれた。投壊の危機に瀕(ひん)していた投手陣が今季初の完封リレー。和田監督は「0に抑えたのでナイスピッチング。今日に関しては満点です」と賛辞を惜しまなかった。
中学から始めた野球。大舞台に縁がなかった。ドーム球場も初。今季チームの先発陣でも最初に初勝利を挙げた。初物づくしとなったドラ6左腕。プロの大舞台に上がり、堂々の「主役」を演じきった。両親に手渡すウイニングボールを左のポケットに大事にしまい、最後は遠慮がちにほほえんだ。