藤浪ビックリ1号&今季初星!虎6連勝
「広島2-8阪神」(15日、マツダ)
阪神が昨年7月以来となる6連勝で、セ・リーグ10勝一番乗りを果たした。先発の藤浪晋太郎投手(20)は投げては7回2失点の好投で今季初勝利を挙げ、打っては六回に右中間席にプロ1号本塁打。2年目右腕が投打で活躍してチームの連勝を伸ばし、首位・広島にゲーム差なしに迫った。
藤浪コールに向かって丁寧に頭を下げた。久々に味わう勝利は、格別だ。4月の首位攻防戦で藤浪が今季初勝利。若きエースが14年のスタートを切った。
「正直、ホッとしました。勝てない苦しい時期もあったので。自分で勝ち取ったわけではないですけど、1つ勝ちを付けてもらって、次から乗っていけるようにしたいです」
序盤は1軍公式戦自己最速タイとなる155キロの直球を軸に、荒々しい投球で圧倒した。二回、エルドレッドに先制本塁打を浴びたが、崩れない。要所で決まったのが7奪三振のうち、3三振を奪ったスプリット。二回、2死二塁で石原を空振り三振に斬ったのも、148キロのスプリットだ。
この新たな武器が2年目の藤浪を支える。参考にしたのはヤンキース・田中の投球だ。「握りを変えました。ヤンキースの田中さんとかいろいろ見て。しっかり腕を振れるようになりましたね」。これまで使っていたフォークに比べて5キロ前後、球速はアップした。
新球完成形でない
試行錯誤を繰り返してたどり着いた握り。腕の振りは、直球と同じだ。「そこを意識してやっているので」。プロ入り当初、田中の決め球はスライダーだったが、今ではスプリットが定着した。「まだまだ完成形ではないですけどね」。宝刀のカットボールと、スプリットで今季を戦う。
六回にはプロ1号アーチが飛び出した。一塁ベースを回ったところで小さくガッツポーズ。「自分でもびっくりしています。逆方向なので入るかな?と思って見ていました。芯に当たったので感触は良かったです」。昨年はわずか1安打だったが、今年はキャンプからマシン打撃を繰り返した。練習中には「気に入っていたバットが折れました」と嘆くほど、意識も高かった。
12日に20歳になった。20歳初登板は7回4安打2失点。先発として上々の結果だが、2年目右腕には物足りなさが残った。「7回100球だけなので。週の頭なので八回、完投しないといけなかったです」。言葉に先発3本柱の一角としての自覚がにじむ。2年目を迎えた藤浪の「エース」を目指すシーズンが始まった。