鳥谷神話弾!1号打てば11戦11勝
「DeNA4‐14阪神」(25日、横浜)
猛虎打線が今季最多タイとなる20安打と爆発。今季2度目の先発全員安打も記録し、連勝で今季最多の貯金7とした。鳥谷敬内野手(32)が1号ソロなど今季3度目、通算101度目の猛打賞となる4安打3打点と打線をけん引。背番号1が存在感を見せつけ、チームは2位に浮上した。
スコアボードに映える「14」得点。先発全員となる今季最多タイ20安打の猛攻‐。ゲームセットの瞬間、その数字をバックに鳥谷の表情が自然と緩んだ。今季1号を含む4安打3打点の大爆発。一気に調子を上げてきた主将が、ダイナマイト打線の起爆剤になった事実は言うまでもない。
価値ある一発が飛び出したのは初回だった。1、2番が良い当たりを放ちながらもわずか4球でツーアウト。流れが悪くなりかねない中で迎えた第1打席、カウント1ストライクからの2球目、内角低めに落ちるスライダーに体がきれいに回転した。
「真っすぐ待ちで変化球に対応できた」。はじかれた打球は打った瞬間に行ったと分かるほど、完ぺきな放物線を描いて右翼ポール際に飛び込んだ。開幕から111打席目での一発で何かが吹っ切れたのか‐。先制の1号ソロは単なる序章にすぎなかった。
三回には無死満塁から貴重な追加点となる右前適時打を放ち、打者11人の猛攻を演出した。続く四回にも中前適時打を放ち、今季3度目の猛打賞を記録。五回にも遊撃内野安打を放ち、打率は一気に首位打者争いの圏内まで上昇する。
開幕から10試合で打率・195。もともとスロースターターだが、開幕前に負った背筋痛の影響からか状態はなかなか上向かなかった。そんな中、練習に取り入れたのが真後ろからボールを投げてもらうティー打撃。かつて03年にオマリー打撃コーチ補佐が、今岡を開眼させた練習法だ。
きちんとバットを内側から出し、ヘッドを走らせなければボールに当たらない。ここ2週間、フリー打撃前に地道にこの動作を繰り返した鳥谷。「コンパクトになった?まぁ、そうですね」と口にした手応えが、急上昇する打率となって表れている。
「1人、1人が役割を果たしていけばこういう形になると思う」とクールに大勝した試合を振り返ったキャプテン。貯金は今季最多の7。快進撃の裏には、3番の役割を全うしようとする背番号1の姿がある。