「大きな1勝」で球団最多4月17勝!
「阪神1‐0広島」(29日、甲子園)
ハイタッチで選手を出迎える阪神・和田監督の右手に力がこもる。兵を見つめる視線には柔らかみがあった。白熱の投手戦。ひと振り決着。首位・広島を砕いた聖地9連勝。そして4月では球団最多の月間17勝。スコア以上の内容を伴った一戦に虎将の心が弾んだ。
朝方から断続的に降り続けた雨。試合開催すら危ぶまれる強い雨脚だった。いつもとは違うルーティーン。選手ロッカーで待機しながら、30分遅れで始まった首位攻防戦だった。
「選手たちは雨にも集中力を切らさずに準備してくれた。ヒットは打てなかったけど、勝ちに対する執念があった」。決戦に挑む前段階として、心の糸をピーンと保ち続けた戦う姿勢を指揮官は評価した。
適合球に切り替えられて初めての試合。バリントンに封じ込まれていたら、リーグ最高の得点力を誇る猛虎打線が幻影だったと捉えられる可能性も少なくなかった。2安打に抑えられはしたが、勝利が、復活を待ち望んだ福留の一撃が、心配を最小限に食い止めた。
「ヒット1本や2本に抑えられて(負けて)いたら、そういう声も出たかもしれない。いろんな意味で大きな1勝だと思う」。試合終了直前に降り出した大雨。天も猛虎の背中を後押しした白星だった。