またも大瀬良に…虎ハンター襲名許すな
「阪神1‐6広島」(1日、甲子園)
猛虎の前に立ちはだかった厚いカベ。阪神は首位奪取の野望を打ち砕かれ、球団新記録となる聖地11連勝も阻止された。悪夢の再現。大瀬良にまたも白星を献上し、プロ初完投まで許した。タテジマに天敵出現だ。
悔やまれる逸機。1点を先制された直後の三回。福留、鶴岡の連打で築いた無死一、二塁の反撃機。岩崎が送りバントを3度失敗し、上本が3ボール1ストライクの優位性を生かせず遊飛。大和も右飛。膨らみかけた風船が一気にしぼんだ。
「追いつくチャンスがあっただけにね。ピッチャーのバントは簡単じゃないけど、ここのところ、すごく失敗しているから」。ミスを引きずるように岩崎が直後に2点を失っただけに、和田監督の嘆きは深かった。
昨年6月12日以来、323日ぶりに首位に立つチャンスだった。あの時もそう。4月16日の広島戦(マツダスタジアム)。勝てば首位に躍り出る一戦で、大瀬良にプロ初星を献上した。
「事実として2回ヤラれてるわけだし。交流戦までにまた当たるだろうから、しっかり対策を練っていきます。苦手意識を持たないようにするためにも、やっつけないことには…」。虎将はリベンジを高らかに誓った。
嘆きの一方で失敗を糧としたシーンがいくつもあった。二回、無死一塁。三塁線を襲った打球を新井良が逆シングルで好捕。三回にはマートンが左翼ポール際の飛球をスライディングキャッチ。前日4失策を犯した守備陣が、地の利を生かした。攻撃でも九回、ゴメスの一発などで攻略寸前まで持ち込んだ。
「負けはしたけど、最後にああいう攻撃ができたから」。次こそ看破する。プライドをかけて打ち砕く。9連戦の旅路を前に、反発材料を得た。価値を生み出す敗北なら、痛みも受け入れられる。