藤浪、次へつながるプロ入り初2桁10K
「広島2-1阪神」(13日、米子)
3勝目が遠い。わずか1点リードの七回、藤浪は先頭キラの右前打と、代走赤松の盗塁で無死二塁のピンチを招いた。フルカウントから松山への7球目。内角へこん身の148キロ直球を投げ込んだが、打球は無情にも中前へ抜けていった。
「ピッチング自体は悪くなかったですけど同点に追いつかれたので何とも言えません。しっかりゼロに抑えたかったです」
六回終了時で球数は102球。広島打線は3巡目を迎えていた。今季失点を繰り返してきたケースだ。それでも「1点取られましたけど、バタバタ崩れなかったのが良かった」と、最少失点で抑えたことは収穫だった。辛口の中西投手コーチも「いつもは2、3点取られてるところだから」と及第点。和田監督も「晋太郎はよく投げた」と粘りをたたえた。
序盤から宝刀カットボールがさえた。四回は無死二塁から、エルドレッド、キラをカットボールで連続三振に斬った。左打者に対してチェンジアップを効果的に使い「それは1つ、ゲームの中の収穫です。次につながると思う」と話した。
地方球場は初めての登板だったが、見事に順応してみせた。試合前の練習では入念にマウンドの高さ、土の軟らかさをチェック。初回の投球練習では足場の感触を確かめるように丁寧に投じた。
登板までの調整法もマイナーチェンジして臨んだ一戦だ。今回、中6日では初めてブルペン入りの回数を2回から1回に。ブルペンでの投球練習も、登板前日ではなく2日前を継続。この日の好投で新たなルーティンが確立された。
今季7度目の登板は7回6安打1失点の力投。奪三振は自己最多の10を数えた。「リラックスして丁寧にストライク先行で投げられました」。勝利には結びつかなかったが、次につながる投球だ。