前夜あわや“大惨事”のマートンV弾!
「広島3-4阪神」(14日、米子)
米子の空に高々と舞い上がった打球は、完璧な軌道を描いて場外へ消えていった。打った瞬間にゆっくりと歩きだした阪神・マートン。完ぺきな手応えを残した勝ち越しアーチだ。だが意外にも本人は「ラッキーだった」と振り返る。
「これまで打席の中でしっくりきていなかった。自分のスイングができていなかったから」。その場面は四回、1死走者なしで迎えた第2打席だった。初球、123キロの甘いスライダーを見逃さず、完ぺきに左翼席場外へ運んだ一撃。実に4月12日の巨人戦以来、27試合ぶりのアーチが貴重な決勝点になった。実はこれが自身4月26日以来となる打点となった。
七回にはチャンスを拡大する中前打を放ち、6試合ぶりのマルチ安打。打撃フォームがしっくりこなかった原因は、体調不良から来る下痢だった。11日の巨人戦を休養し、必死の調整で広島2連戦に間に合わせたものの、試合中にあわや“大惨事”を引き起こしそうになったと言う。
「キノウ、キュウカイ、(お尻を指さし)OH~!!アブナカッタ~」。この日の試合前練習中、本人が苦笑いを浮かべて明かした。チームがサヨナラ負けを防ごうと踏ん張っていた九回裏、実はマートンも左翼の守備位置で人知れず必死に耐えていた。
決して体調は万全ではない。それでもグラウンドに立つ。和田監督も「体調が万全でない中でも結果を残してくれた」と最敬礼。絶好調で打線を引っ張っていた4月序盤は、打点とともに本塁打を量産していた。
ゴメスの調子が下降線をたどる中、1カ月ぶりのアーチが本人にとっても起爆剤となるか‐。リーグ戦残り3試合、そして虎にとって難所の交流戦へ。マートンのバットがカギを握っている。