「交流戦、日本ハム３-１阪神」（３１日、札幌ド）

　あえてやっかいなボールを狙った。３番打者として、メンドーサにダメージを与えるのは得意球を仕留めること‐。序盤から不規則な変化をするナックルスライダーに苦しめられた呪縛を、阪神・鳥谷が先制の中前適時打で解き放った。

　場面は０‐０の六回だった。１死一、三塁で迎えた第３打席。カウント３ボールからメンドーサが投じたど真ん中の直球に見向きもしなかった。打って出て良い場面だったが、手を出さなかった理由。それは次の１球が示していた。

　５球目、ボール気味に抜けた高めのスライダーに鳥谷は食らいついた。結果はファウルでフルカウントとなっても「頭にはあった」と６球目、真ん中低めに落ちるスライダーを捉えた打球はきれいに二遊間を破った。

　先制の中前適時打で均衡を破っただけなく、この回限りで難敵をマウンドから引きずり下ろす価値ある一打。「鳥はスライダーを狙ったと言ってたし、チームとしても後半はスライダーを狙って行った」と関川打撃コーチが明かしたように、好投する能見を援護したが…。

　結果は痛恨のサヨナラ負けで３連敗。ただ鳥谷が勝負どころで見せた打席での姿勢は、今後、必ず光明を見いだす糸口になる。