鳥谷聖地の主役譲らん!160キロ撃ち
「オールスター・第2戦、全セ6-12全パ」(19日、甲子園)
意地の一振りは空を切らない。剛速球にどよめくスタンドに快音を響かせ、拍手と歓声に包まれた。驚嘆の幕開けからの日本ハム・大谷との真っ向勝負。日本球界初の「160キロ打ち」を見せた全セの阪神・鳥谷に軍配だ。
「狙って出せるのはすごい。162キロの打席に立てることはなかなかないので、いい思い出になりました。空振りして終わる勇気はなかったです」
驚きながらも食らい付き、はじき返す。見せ場は初回だ。先頭で打席に立ち、初球の161キロを見逃して苦笑い。2球目のファウルで「162」を確認すると、電光掲示板を指さすしぐさを見せた。「何キロまでいくかと思った」。少し表情を崩したが「脇役」で終わるつもりはなかった。
「甲子園でいいピッチングをしてやられてるので。あの時は手も足も出なかったので」
忘れられない「あの時」は、6月18日の大谷との対戦。2三振を含む3打数無安打に抑えられた。やられたままで終われない。3球目の159キロをファウルすると、2ストライクからの4球目だ。160キロに反応した。強烈な打球は遊撃手のグラブをはじいて左前に達した。
「しっかりといつもの準備をしてたので」と鳥谷。この日は打撃練習開始の1時間前にグラウンドに一番乗り。蒸し暑い中、フードをかぶってポール間をゆっくり走り、スタンドでの階段上りも敢行して、準備を整えた。
守備では、二回2死一塁で大引の二遊間への打球をダイブでつかみ二塁封殺に仕留めるプレーも披露。攻守にわたる躍動は、地道に流す汗が支えだった。
充実の2試合。他球団の選手とのプレーを楽しむ一方、前日18日の試合後は藤浪とともに食事に出る気配りも。「ヒットも出ていいプレーもできたんで」。頼れるキャプテンが最高の形で後半戦に挑む。