岩田、防御率1・97トップ「悔しい」
「阪神0‐4ヤクルト」(29日、甲子園)
意地も、粘りも見せた。だが、わずかな心の隙が敗北につながってしまう。「打たれていないので、これで負けるのは悔しい」。阪神の先発・岩田はやり場のない気持ちを抑えるように、そう言葉を絞り出した。
今季は抜群の安定感を示してきた左腕。この試合でも初回を簡単に3者凡退に封じた。また岩田の快投が見られる。場内の虎党も期待に胸を膨らませていたが、続く二回に落とし穴が待っていた。
先頭のバレンティンにストレートの四球。自らの暴投後、川端のボテボテの三塁ゴロが内野安打に。一、三塁で畠山の打ち取った飛球も中堅・俊介の前に落ちる先制適時打となった。さらに1死一、三塁から相川の中犠飛で2点目を献上する。
岩田の言葉通り打たれてはいない。「自分はそういう投手」と打たせて取るスタイルも出せていた。だが、序盤に重い2点を失う結果がのしかかる。
和田監督は「(二回は)ちょっと逃げたような入りになった」とバレンティンへの四球を悔やんだ。「ムダな四球を与えないように」と強力打線に対する心構えを口にした岩田。皮肉にも、その四球が命取りとなった。
ただ8回4安打2失点と、今季の好調を示す粘りの投球は光った。規定投球回にも達し、防御率1・97はリーグトップに立つ数字だ。指揮官も「低めにくればボールも動く。ストライクも取れているし、テンポもいい」と称賛。それだけに、野球の怖さを痛感する1試合となった。
岩田自身も「負けているというのは、先に取られているから。次はゼロを並べるようにしたい」と決意を新たにする。ここまで猛虎の進撃を支え、後半戦も柱と期待される左腕だ。1つの敗北を糧にし、強き心で次のマウンドに立つ。