福留サヨナラ打!聖地90歳に花添えた

 「阪神5-4DeNA」(1日、甲子園)

 聖地の記念日に、劇的な勝利で花を添えた。甲子園球場が誕生から90周年を迎えたこの日、阪神・福留孝介外野手(37)が延長十回、1死一、三塁から中前にサヨナラ打を放ち、熱戦に終止符を打った。中盤以降、再三の好機を生かせずに苦しんだが、最後はベテランの執念の一打。シーズン50勝の区切り星をもぎ取った。

 打球を目で追う必要はなかった。打った直後に確信した。人差し指を立て、仲間が歓喜する一塁ベンチを向いて駆けだす。甲子園が90歳を迎えた節目の一戦。福留が熱戦に終止符を打った。

 延長十回1死三塁。大ブーイングの中、代打・関本が目の前で敬遠された。

 「絶対に決めてやると思っていた。目の前で歩かされたんでね」

 大原に対して初球のスライダーは空振り。2球目のスライダーも見送り、2ストライク。3球目。焦りそうな状況でも冷静だった。「内角に来たら当たってもいいと割り切った。どんな当たりでも前に飛ばそうと思った」。3球連続の外角スライダーを体勢を崩されながら中前に運んだ。

 7月22日の巨人戦以来、今季2度目のサヨナラ打。仲間からの冷水のシャワーに「寒いっす。さすがに冷たい水なんで」。お立ち台では苦笑いしながらも声をはずませた。

 主役となる伏線はあった。八回無死一塁は送りバントを決めた。九回2死一、二塁は山崎の右前打を猛チャージでつかみ、本塁へノーバウンド送球で勝ち越しを阻止。「前めに守っていたし、頭を越されたら、ごめんなさいという気持ちだった」。経験に裏打ちされた大胆なプレーでチームを救った。

 甲子園球場90周年となった一戦。普段とは違う心境もあった。「小、中と野球をやってね。ここに憧れ、目指してやってきた。成長させてもらった場所だし、やっぱり俺にとっては聖地だから」

 PL学園では3度甲子園に出場した。3年時は春夏連続出場し、計3本塁打。圧倒的なパフォーマンスを見せたが、はっきり記憶に残っているのは「負けた試合ばかり」という。3年夏。智弁学園(奈良)に敗戦した準々決勝は最後の打者だった。大観衆の中での経験や後悔は、プロとなった今でも底力を生み出す原動力だ。

 聖地の節目を飾った勝利は、低調だったチームにとっても価値ある1勝となった。「投手が粘って勝てたのは大きいね」。熱戦を終えた男は、穏やかな表情で慣れ親しんだ聖地のスタンドを見上げた。

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