岩崎「助かりました」新井から耳打ち
「ヤクルト3-5阪神」(15日、神宮)
タテジマのユニホームをまとい、あこがれの場所に帰ってきた。大学野球の聖地・神宮球場。近くて遠かったマウンドで阪神・岩崎が持ち味を存分に発揮した。
初回、バレンティンの左前適時打で先制点を許すと、二回も2死満塁のピンチを迎えた。2番川端に対して、2ボールとなった場面。「慎重になりすぎていたところで新井さんが来てくれた。『ストライクゾーンで、自分のボールで勝負するしかないだろ』と言ってもらいました。それがすごく助かりました」
投手不利な状況から逃げず、自分のボールを信じた。3球目に投じた134キロの直球で中飛。それ以降は和田監督が「真っすぐに伸びが出てきて変化球との球速差が出てきた」と評した投球で、ゼロを並べた。同点の七回は無死二塁のピンチを背負ったが、後続3人をピシャリ。堂々の7回5安打1失点で5勝目を手にした。
全国では無名だった高校時代。華やかな東京六大学野球や、戦国と評されレベルが高い東都リーグへの進学は「1つの目標でした」と振り返る。だが進んだのは東都2部リーグに所属する国士舘大。「監督から言われたところに行こうと。チャンスはあるだろうと思っていました」。芽生えた反骨心。プロへの思いはブレなかった。主戦場も聖地神宮ではなく、両翼91メートルと狭いすぐ隣の第二球場。ここで投球術を磨き、プロへの扉を開いた。
「ほとんど投げたことがないので新しい気持ちで臨みました」
神宮は阪神投手陣がそろって苦手とするが「そういうことも知っていたので良かった。何とかしたかった」と頼もしい。神宮キラーへ、堂々と名乗りを上げる好投だった。次回は当初、岩貞の先発が予定されていた21日・中日戦が濃厚だ。ドラ6から果たす下克上。岩崎の1年目はまだ、終わらない。