阪神がオリ金子獲り参戦へ4年20億準備

 阪神が今オフ、FA戦線の目玉であるオリックス・金子千尋投手(30)の獲得に乗り出す方針を固めたことが16日、分かった。金子が国内FA権を行使した場合は、複数球団が名乗りを上げるとみられる争奪戦。4年総額20億円規模の条件を用意し、パ・リーグ最強右腕を口説き落とす。

 9年ぶりのリーグ優勝が絶望的になり、来季の覇権奪回が猛虎の至上命題に課された状況下。球団フロントが玉砕覚悟で金子争奪戦に参戦する方針を固めた。両リーグで唯一、1点台の防御率を誇る快速右腕を破格待遇で出迎える。

 「今のウチに必要な補強ポイントは投手。投手はいくらいても構わない。投手中心の補強になると思います」と球団関係者。能見、メッセンジャー、藤浪、岩田と並び、先発陣の屋台骨を支える存在として、金子に照準を絞った。

 リーグトップの13勝。防御率1・88。185奪三振とリーグ3冠を躍進する右腕は8月24日に国内FA権を取得。阪神は昨年来、オリックス入団時の金子の担当スカウトだった熊野スカウトを中心に、水面下で金子の調査を続けてきた。

 複数球団が名乗りを上げると予想される争奪戦は、4年20億円の大型契約を基本ラインとして、各球団が熱い火花を散らすと見られている。だが、11月に31歳を迎える金子はまだ若く、十分に採算が取れる投手だと球団は位置づけた。

 球団内に集まった情報の中には、阪神は金子の意中の球団ではないという声もあった。だが、チームを優勝させるには不可欠な存在だとして、下馬評不利な情勢化でも出馬し、猛烈アタックと好待遇で口説き落とす方針を固めた。

 ただ昨年、ソフトバンクに移籍した中田争奪戦に敗れ、FAで投手補強に失敗した反省を踏まえ、中日・山井、日本ハム・宮西らの獲得調査も並行して進めており、金子争奪戦に敗れた場合でも、即座にかじを切り替えられる環境は整えている。

 球団創設80周年の節目を迎える来季。現有戦力の底上げと同時に、先発、中継ぎ両面の補強なくして、リーグ優勝奪回の大目標に前進することはできない。夢を成就させるカギとなる金子を獲得できれば、おのずと巨人撃破の縮図は見えてくる。策を練り、知恵を絞り、金子争奪戦に勝利する算段を整える。

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