隼太、初代打弾!千金の自身聖地1号

 「阪神2‐1ヤクルト」(27日、甲子園)

 流れを変えた。快音を響かせた白球がバックスクリーン左に飛び込んでいった。全力で二塁まで走ったところで両手をたたいた阪神・伊藤隼。代打初本塁打は、自身初の聖地アーチ、そして価値ある同点弾になった。「どの球場でもホームランはうれしいです」とはにかんだ。

 場面は五回だった。1死から好投していた岩崎に代わっての代打。カウント1ボールから低めの変化球に手を出して空振りしたが「その後のフォークも見極められたし、結果は出ていなかったけど練習から状態は悪くなかったので」と決して、打席での自信は揺るがなかった。

 そしてカウント2‐1からの4球目、高めに浮いた141キロのストレートを完ぺきに捉え2号ソロ。7月6日・DeNA戦以来となる一発に「あっち(中堅から左方向)のホームランは初めてなんで、状態は良い」と冷静に振り返った。起用した和田監督も「あの一発で流れが変わった。石山に対して相性も良かったので」と期待に応える一撃に目を細める。

 「代打が難しいとかそういうことを言っていられる立場ではない」と言いきる伊藤隼。9月に入り、代打起用がメーンとなる中、この試合まで6打席連続で凡退していた。内容は良くても結果につながらない。その現状を変えたのは練習に取り組む意識だった。

 「練習から1球目を大事にしようと思って」。フリー打撃の1スイング目、早出特守の1球目‐。しっかりとスタートを切る意識が打席でも表れていた。ファーストストライクを自分の形で振ることができた。

 それが最高の結果に結びついた。苦境を攻めの姿勢で切り開いたからこそ成長につながる。そしてチームにも新たな勢いを生む。

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