ゴメス、サヨナラ犠飛 2度敬遠燃えた

 「阪神1‐0DeNA」(29日、甲子園)

 虎の4番の意地だ。0‐0の延長十回、1死満塁から阪神はマウロ・ゴメス内野手(30)がサヨナラ中犠飛を放った。八回に続いて、十回も目の前の3番鳥谷が敬遠されていただけに、留飲を下げた。阪神はこれで3連勝。2位広島も勝ち、ゲーム差なしは変わらず。残り2戦、逆転での2位フィニッシュに突き進む。

 殺気立っていた。立ち上がる黒羽根の姿を見たゴメスの目は、怒気をはらんでいた。今にも食らいつきそうな、どう猛な雰囲気。プライドを粉々に砕かれた男が、獲物を見逃すわけがない。最大限の集中力を注ぎ、左中間へ打ち上げた打球が、スコアレスのゲームに終止符を打った。

 延長十回だ。1死二、三塁から鳥谷が敬遠された。「ダブルプレーを打たしたいという相手の戦略もあったと思う」と言うが、2打席連続の“屈辱”を黙っては受け入れられなかった。

 八回の2死二、三塁でも鳥谷が敬遠され、ゴメスは遊ゴロに倒れていた。好投の岩田に10勝目をプレゼントできなかった。打席に向かうまでに交錯する様々な思い、問われた4番の重責。カウント1‐1からの3球目、真ん中に浮いた直球を見逃さなかった。距離十分の犠飛を打ち上げ、三塁走者の西岡を生還させた。

 自身が決めた来日初のサヨナラ。歓喜のウオーターシャワーに「何とか自分で決めたかった」と満面に笑みを浮かべた。力任せの助っ人なら、怒りが本来の姿を狂わせる。メジャーのプライドがある選手が目の前で敬遠されればなおさらだ。

 だがゴメスは違う。現状と結果を受け入れ、打破しようと技術面以外でも必死になれる。「深い意味はなかった」と言うが、凡退した第4打席とサヨナラ犠飛を放った第5打席ではバットを持ち替えた。連続試合無安打が続いた27日のヤクルト戦前には自慢のヒゲを剃り落とした。

 それでも結果が出なければ、今度は髪にバリカンをあてた。「25歳くらいに見える?」とおどけたが、すべては悪い流れを払しょくするため‐。日本でいう“験担ぎ”が精神的なゆとりを生む。好不調の波が少なく、108もの打点を積み上げてきた要因はこんなところにもある。

 「打席でカリカリするところはあるけど、しっかり4番の仕事を果たしてくれた」と目を細めた和田監督。お立ち台で「すばらしいファンのために甲子園でCSを戦いたい」と誓ったゴメスのバットが、必ず残り2つの白星を呼び込む。

編集者のオススメ記事

タイガース最新ニュース

もっとみる

スコア速報

主要ニュース

ランキング(タイガース)

  1. 【藤田平氏の眼】阪神・前川右京は「復調に時間がかかる可能性も」 中野は「この感覚を忘れずに」

  2. 阪神・平田2軍監督 先発初挑戦の伊藤稜に「俺から言わせると投球したよ」3安打の井坪には「素晴らしいね」一問一答

  3. 阪神・平田2軍監督 勝ち越し3ランの山田に「効果的な3ラン。力強さが加わって本当に楽しみになってくるよ」一問一答

  4. 【昭和の虎模様】鎌田実氏「阪神だけは嫌。行かんよ」言い続けるも「だまされた」

  5. 岡田阪神に強力新ブレーン 京大出身アナリストが“アレ”の最適ルート導き出す!

話題の写真ランキング

写真

リアルタイムランキング

  1. ええっ、女優かと思ったら「格付け」出演の美人アスリートに騒然 透明感ビジュが「どんどん綺麗に」「系統が北川景子」「な、なんと」

  2. ドジャース エドマンの奥さんが選んだ日本のお菓子 まさかの干し梅に「チョイスが最高」観光場所もド軍奥さま絶賛「BONSAI」

  3. キケ・ヘルナンデスが撮影したロッカーでの集合写真 もはやお約束?上半身裸の剛腕がw美しい家族ショットも「また日本に来てね」

  4. ええっ、女優かと思ったら「格付け」出演の美人アスリートに騒然 透明感ビジュが「どんどん綺麗に」「系統が北川景子」「な、なんと」

  5. 激変「人生最高」片岡鶴太郎70歳の風貌に衝撃「ヨガ極めダルシムみたいになってる」「めちゃ肌綺麗」と驚き 「犬養毅」「仙人」「ネテロ」と大喜利状態

注目トピックス