阪神が１日から高知県安芸市で行う秋季キャンプで、野球評論家で元広島の大野豊氏（５９）を臨時コーチとして招へいすることが１０月３１日、明らかになった。２２年間の現役生活で通算１４８勝、１３８セーブを挙げた鉄腕左腕の教えを請い、飛躍のカギをつかませる。

　眠った才能を呼び覚ましたい。小嶋、藤原、榎田、筒井…。過去にドラフト上位指名しながら、期待に見合った数字を残せていない左腕が数多く埋もれている。１０年ぶりのリーグ優勝を狙う来季に向け、現有戦力の底上げは不可欠。その指南役として大野氏に白羽の矢を立てた。

　「期待してドラフト上位で獲得した左投手が活躍できていないし、新人の岩貞、岩崎もいる。大野さんは経験も実績も豊富だし、大野さんから殻を破るキッカケとなる何かを学んでもらえたら」と球団関係者は招へい理由を説明した。

　広島をはじめ、０４年のアテネ五輪、０８年の北京五輪でも全日本の投手コーチを務めた実績を持つ大野氏の指導は懇切丁寧で熱い。現役時代にはパーム、シュート、ドロップなど多彩な変化球を操った技術の贈与にも球団側は期待を寄せている。現時点でキャンプ合流日は未定だが、間もなく開講する大野塾が大空へ羽ばたく絶好機となる。