北條“ポスト鳥谷”来春キャンプ1軍や
大きな一打が大きなチャンスを引き寄せる-。阪神・和田豊監督(52)が9日、台湾で行われている21Uワールドカップ(W杯)に参戦中の北條史也内野手(20)を来春キャンプで主力中心となる宜野座組に抜てきする可能性を示した。残りのW杯の試合でも活躍できれば来季の飛躍へつながる扉を開くことになりそうだ。
若虎が台湾の夜空に描いたアーチが、指揮官の心にも届いた。日の丸を背負う重圧。慣れない異国での国際試合。それをはねのける力強さが、和田監督が思う猛虎の未来予想図を鮮明にしていく。
「試合の流れを変える一発だったからね。それは違うよ。大きな自信になるね」。声を弾ませ振り返ったのは、21UW杯で8日のベネズエラ戦に見せた北條の逆転3ランだ。1点を追う四回2死一、二塁から左翼席へたたき込んだ一撃から、七回コールドの勝利を呼び込んだ。
それは、チームに戻った際の自身の立場も大きく変える。来春キャンプで主力中心の宜野座組とするかの判断基準として、和田監督は「11月に(秋季キャンプで)見られないからね。この大会での活躍が、大きな選考材料になる」と明言した。
侍ジャパンのユニホームをまとい戦う国際試合。すべてが成長への糧になる。その上で「残り試合でもチームに貢献できれば、相当の力をつけて帰ってくるだろう」と大きな期待を寄せた。
さらに遊撃手として、キャプテンとしてチームをけん引した鳥谷が、メジャー挑戦を視野に海外FA権行使を決断。チームを退団する可能性が出てきた中で、次の遊撃手育成は急務となってくる。
「いずれにせよ二遊間(の選手)はつくらないといけない。その候補の一人だと思う」。来季3年目を迎える20歳の遊撃手が『ポスト鳥谷』となるか-。それは猛虎の未来にとって大事な要素だ。
ここ一番での勝負強さこそ真骨頂。光星学院3年の12年には、夏の甲子園準決勝で、2打席連続バックスクリーン弾の離れ業も見せた。和田監督も「高校時代から、そういうものを持っている選手」と評価。今季は出場機会こそなかったが、9月29日に初の1軍昇格も果たした。
だからこそ「帰ってきてからが大事。北條にオフはないってことや」と、このオフの過ごし方へ注文をつけることも忘れない。2015年。世界を相手に牙を磨いた北條が、聖地で雄々しくほえる。