能見“開幕は藤浪”「晋太郎の時代」

 開幕は晋太郎!阪神・能見篤史投手(35)が7日、藤浪晋太郎投手(20)の来季開幕投手を後押しした。私見ながら後輩に大役を託し、自らはバックアップを誓った。この日は京都市内で開催された第9回学童野球教室に参加。子供たちからは「来年もエース」と声援を受けたが、「晋太郎の時代」とその座を譲った。

 元気ハツラツの野球少年に「いいね」「オーライ」と何度もうなずいていた能見が一度だけ首を横に振った。「来年もエースとして頑張ってください!」。あどけない激励が飛んだとき、「それは違うなあ。僕は来年36歳。これからは晋太郎の時代だぞ」と笑った。

 寒空で5時間の指導を終えると、かじかんだ手をさすりながら新しいシーズンについて触れた。来季は球団創設80周年。節目の開幕マウンドにふさわしい投手は誰か。そんな問い掛けに「メッセ、晋太郎が候補だけど、僕は晋太郎がいいと思いますよ」と答えた。

 メッセンジャーが帰国の際に早々と来年の開幕投手に名乗りを上げ、藤浪も契約更改の会見で「気持ちはそこを目指したい」と語った。今季の開幕を務め、これまで3度の大役を任されたエースだってまだまだ大本命。それでもよどみなく15歳下の後輩を後押ししたのは、世代交代を逸すれば…と、チームの行く末を憂うから。

 「僕は長い年数できるわけじゃない。晋太郎が中心にならないと。晋太郎が怠けていたら、言いますよ」。顔は穏やかだったが、後継者台頭のためには嫌われ役だっていとわない。

 参加者500人の前で背番号と同じ14球のデモンストレーションを行い、大歓声を浴びた。「目立たないようにやって、数字を残せれば」。遠慮気味にそう話したが、終戦から1カ月たった今も直球は142キロを計測。9勝に終わった今季の雪辱に向け、牙を研ぐ。

 この日の野球教室を主催した阪神OBの桧山進次郎氏は「晋太郎もまだまだやらないといけないことがある。20代後半で開幕を務められる人がいない。もどかしさもあると思う」と能見の気持ちを代弁した。オレに開幕投手をやらせるなよ。背番号14から19へ、エース禅譲のメッセージが送られた。

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