柴田を見て!和田監督へ青木のお願い

 ロイヤルズからFAとなった青木宣親外野手(33)がデイリースポーツを通じ阪神・和田豊監督(52)に異例のお願いだ。沖縄県浦添市で合同自主トレを公開した15日、志願参加するプロ7年目の柴田講平外野手(28)を1軍キャンプに推薦した。昨季ワールドシリーズを戦ったヒットメーカーの声が虎将へ届くか。

 ワールドシリーズを戦った日本を代表するヒットメーカーが、遠く沖縄から虎将にまな弟子を売り込んだ。

 「和田監督、一度、柴田を見てやってください。お願いします」

 リップサービスやアメリカンジョークじゃない。青木の二重まぶたの奥はマジだった。

 「柴田は本当にいい。僕のマネとかではなく、この打ち方ならボールもうまく見られるし、ちゃんと捉えられる。いい打者は必ず共通点があるけど、彼はそれを自分流にしている。去年よりすごく進歩していると思う」

 一昨年オフ、大学時代から青木に憧れ入門を志願してきた柴田を快く迎え入れた。今回2度目となる合同トレでは進化したスイングに衝撃を感じている。

 日本で首位打者3度、最多安打を2度記録した安打製造機は昨季、悲願の舞台に立った。世界最高峰をかけて戦ったが「まだ自分の打撃には、何ひとつ納得していない」と言う。そんな求道者だからこそ「かわいい」だけが推薦の理由にはならない。「必ず数字を出せる打ち方」だと確信を持つから、日米の垣根を越えて訴えた。

 「ここに来ている以上、結果を出してもらわないと僕も困る。チャンスは年齢とともに減ってくるのは間違いないけれど、レギュラーを取ってやるという意欲はそがれていない。そこはすごく大事」

 外野陣の競争はし烈だ。16日のスタッフ会議でキャンプの1、2軍メンバーが振り分けられるが、昨季27試合出場にとどまった7年目28歳の外野手は当落線上にいる。師匠からゲキを飛ばされた柴田は「ワールドシリーズまで行った人のもとでやらせてもらっている。青木イズムで巻き返したい」と神妙に話した。異例の売り込みはアドバンテージにもプレッシャーにもなる。「青木の目」に泥を塗るわけにはいかない。

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