藤井 ドラ1横山に岩隈の哲学授ける
阪神・藤井彰人捕手(38)が24日、大阪府富田林市内のバッティングセンター「ニュー富田林」で自主トレを行った。23日のコーチ会議で安芸キャンプスタートが決定。プロ17年目で初の2軍キャンプとなるが、自らの役割を自覚。2軍スタートするドラフト1位・横山雄哉投手(20)=新日鉄住金鹿島=に、かつてバッテリーを組んだ岩隈(マリナーズ)のような一流投手の哲学を授ける使命感を語った。
カキ~ン、カキ~ン。藤井が男前な軌道で球速130キロをかっ飛ばした。存在に気付いた地元のおっちゃん、おばちゃんから歓声を浴びながら100球超を打ち込んだ。「去年クビもちらついた」という背水の38歳はバッティングセンターで一心不乱にスイング。「調子乗る」と笑ったが、キャンプの話題になると癒し系の目尻がキリッとつり上がった。
「横山、良さげやね。台湾の大会かな。ニュースでチラッと映ったけど、出どころが打者から見えにくそうやし、力任せに投げてる感じがせえへんから。実際に受けたら分かるから受けてみたい」
近鉄、楽天時代を通じ、プロ17年目で初の2軍キャンプスタートが決まった。山田バッテリーコーチとも話し合い、納得の安芸行きだ。宜野座で主戦の球を受けることも職責なら若手中心のブルペンでベテランが果たす役割もある。心待ちはドラ1左腕との初対面。まだ見ぬ20歳のことが気になっている。
「若い子の心理は分からんけど会話は一方通行でもあかんからね。力になれるんやったら色んな話もしたいし、楽しみはある」
昨秋、21歳以下のワールドカップで活躍する横山のフォームに一流のポテンシャルを感じた。2軍キャンプスタートする左腕の球を安芸のブルペンで吟味すれば、将来性の有無も分かる。左胸鎖関節の炎症で本格投球の解禁は未定だが、熟練の経験談を交えてコミュニケーションを図ればいい。
「岩隈は新人時代、ひょろひょろで野球できるんかなと思ったくらい。腕の振りが緩いけど狙ったところに球がくる。タイミングとバランスしか考えていないと言ってたよ」
楽天時代、「岩隈の恋人」と言われた。横山が望めば、近鉄時代から知る沢村賞投手の哲学を授けたい。「男前塾」は門戸を広げて待っている。