坂井オーナー喝!北條&西田は期待外れ
「練習試合、日本ハム3-1阪神」(11日、名護)
阪神・坂井信也オーナー(66)が、沖縄県名護市営球場で行われた日本ハムとの練習試合を観戦した。キャンプ初視察となった球団総帥は若虎を「期待外れ」と酷評。また、試合前に宜野座ドームで行った訓示では北條、西田に名指しでゲキを飛ばすなど、次世代選手の台頭を切望した。
張り詰めた空気に電流が走った。球団創設80周年初の対外試合を前に、坂井オーナーが名指しでハッパをかけた。
「北條君、西田君が目立っていない。もう少し、君らに頑張ってもらわんと…」
9時15分。宜野座ドーム内にチーム全体を集め、訓示した。フロント、監督、コーチ、選手、裏方…。全員の前で20歳と21歳の有望株を叱咤(しった)激励した。前夜沖縄入りした総帥は、底上げの目立たないキャンプ報道に目をやりながら、やきもきしていたのかもしれない。若虎たちと顔を合わせると、期待の裏返しがゲキとなってあふれ出た。
夕方、その厳しい表情は落胆の色に染まっていた。日本ハムに1-3で敗戦。苦虫をかんだのは初陣を飾れなかったいら立ちのせいではないだろう。激励したばかりの西田が初回に適時失策し、9番・遊撃で先発出場した北條は3打数無安打。球場を出る際、スタメンに名を連ねた若手について感想を求められると、もどかしさが色濃くにじんでいた。
「期待から外れています。今日見てどうやということはないと思いますけど…」
投手陣では二回に24歳の金田が大谷に被弾し、五回は22歳の岩本が陽に1発を浴びた。「向こうは1軍メンバー。素晴らしい打線だと思います」。敵軍が4番に中田を据えた本気オーダーであったことを差し引いてはみたが、厳しい言葉が口を突いた。
「今日の試合にええ印象はないけど。もう少しペースを上げてやってもらわんといかんと思う。今出ている選手がもう少し力強くアップしてくれたら」
オフの戦力補強がままならず、ほぼ現状維持のまま節目の年を迎えた。鳥谷ら主軸と控え組との差が埋まらなければチームの厚みは増してこない。7キロ減量した西岡の印象を聞かれた球団トップは「顔も細くなって頼もしい」と期待を寄せたが、朝の訓示について問われると「忘れました」と素っ気なかった。
「期待は大いに持っています」。期待しているからこそ、若手が目立たない現状がもどかしい。チーム全関係者の前で、あえて名指しした理由。坂井オーナーは若手の反骨心に火がつくことを強く望んでいる。