藤浪“血染め”0封…今年最長の5回
「練習試合、阪神2-0オリックス」(28日、安芸)
阪神・藤浪晋太郎投手(20)が先発し、予定の5回を3安打無失点に抑えた。一、二回は最速152キロをマークした直球中心の配球で臨み、直球の感覚が狂いだした三回以降は変化球主体に切り替える変幻自在の投球。オフに自主トレを行った広島・前田健太投手(26)からの助言も生かし、3年目の進化を披露した。
ユニホームを血染めにしても、藤浪は冷静だった。三回2死から2四球と1安打で、満塁のピンチを迎えた。ここで直球主体だった序盤の投球スタイルを一変させた。坂口をカットボールで二ゴロに仕留めると、四、五回も変化球を多投。スライダー、ツーシームなど多彩な球種で打者を打ち取っていく。ここに3年目の進化が凝縮されていた。
「序盤はまっすぐが良かったけど、三回以降、まっすぐをひっかけてしまった。何とか(変化球で)ごまかした感じです。投球の幅というか、いろんな球種を試せたのは良かったと思います」
“マエケン流”投球術を実践した。1月の合同自主トレ。課題の抜け球に悩んでいると、前田から「ひっかけ気味で投げた方がいい」とアドバイスをもらった。「自分の中に、そういう考えはなかった」と藤浪。この試合では「自分ではひっかけてもいいと思っていた」と思考を広げ、果敢に左打者の内角を突いていった。
「足払い」のミッションを果たす投球に、中西投手コーチは「抜け球がなかったな。指にかかったボールだったので良かった。(相手打者の)足を動かすことが1つのテーマだった」とうなずいた。今年最長5イニングを3安打無失点。直球は最速152キロをマークし、5三振を奪った。
出血の原因は試合前のキャッチボールで、右手中指のささくれを爪で破ったため。「血を見ると、興奮してパフォーマンスが落ちやすい」。ただ今回のアクシデントには、落ち着いて対処。投球に影響はなく、予定回までマウンドに立ち続けた。
実戦3度目の登板で初の無失点。指揮官は「前回も球自体は悪くなかった。投げるたびに状態は上がっている」と順調な仕上がり具合に目を細めた。
藤浪の次回登板は6日・西武戦に2番手で2イニングを投げる予定。その後は10日・欧州戦に向け、侍ジャパンに合流する。「(脱力投球を)つかみかけているところなので、オープン戦でしっかり自分のものにしていきたい」。変則調整の中でも自らの課題は見失わない。