呉昇桓は今年も万全!初実戦で3人斬り
「オープン戦、阪神1-0ヤクルト」(12日、甲子園)
虎の守護神、今年も頼みます!阪神・呉昇桓投手(32)がヤクルト戦で今年実戦初登板。1点リードの九回、1イニングをわずか9球で3人斬りし、チームをオープン戦3連勝に導いた。石直球に加え、昨季終了後から取り組んできた「沈むツーシーム」も試し、手応えは上々だった。
新たな軌道が外角低めに決まると、球審は迷わずストライクをコールした。1点リードの九回2死、今浪への3球目だ。「打者の反応を見たかった。そこまで悪くなかったと思います」。呉昇桓が満足そうに振り返ったこの1球が、2年目の進化の証し。春季キャンプで改良を重ねていたツーシームだ。
来日2年目は石直球だけじゃない。ツーシームに新たな可能性を見いだした。初実戦でコンビを組んだ梅野は「今年は高さを意識していると思いました。いいところに決まっていましたね」と称賛。中西投手コーチも「使えるメドが立った」と合格点を与えた。
初実戦マウンドで、打者3人をピシャリ。決め球はすべて石直球で締めた。先頭荒木は142キロで中飛、藤井は143キロで右飛。3人目今浪には、スライダー、ツーシームを見せて、最後はこの日最速144キロで中飛に。石直球6球、ツーシーム2球、スライダー1球。わずか9球でゲームセットだ。
「15年の初実戦だったので、結果より投球バランスを意識して投げました。失点してしまうと、裏の攻撃もある。野手も寒いと思うので、簡単に終わらせたいと思っていた」
気温10度。同じ時季の母国・韓国と比べると暖かいというが、凍えるような寒さの中、野手を気遣う余裕も。ただ、投球には不満が残った。「打球がすべて外野に飛んでしまった。それは反省しないといけない」。今季の個人目標は12球団最少のセーブ失敗。2週間後の開幕へ、凡打の質にもこだわっていく。
2年目のキャンプは焦らずスローペースを貫いた。初実戦は昨年より約1カ月遅いが、「ゲームで投げていないだけで、去年と同じような感覚でやっていました」と調整は万全。茶色く染めた髪も、心の余裕の表れだろう。
和田監督は「全力でいっているわけじゃない。向こう(韓国)でもそういう感じだった。スンファンのペースでやっている」と揺るぎない信頼を寄せる。今年も八回までリードを奪えば勝利同然だ。最終回には頼もしい守護神が控えている。