福留逆転V2ランで阪神開幕3連勝
「阪神10-8中日」(29日、京セラ)
完全復活-。阪神・福留孝介外野手(37)が7年ぶりの開幕3連勝を呼び込んだ。1点ビハインドの四回、無死一塁から、中越えに1号逆転2ラン。日米通算250本塁打のメモリアル弾で古巣・中日を粉砕した。単独首位。この調子で頼んまっせ。
京セラドームが揺れた。中堅へ描いた放物線を万雷の拍手と歓声が彩る。熱気に包まれた白球は最後にもうひと伸び。3日連続満員のスタンドに届けた決勝の1号逆転2ラン。福留がメモリアル弾で開幕3連勝を締めくくった。
お立ち台に上がった主役に再び歓声が降り注ぐ。「大切な開幕3連戦で打てたことはすごくうれしい」。脳裏によみがえる残像と、手に残る感触を思い出すと表情が崩れた。
四回だった。ゴメスの2ランで1点差となり、スタンドには余韻が残っていた。その直後だった。
「ゴメスが打ったので、刺激を受けて思い切りいった」
無死一塁。カウント2-2から、2球ファウルを打った後の7球目。「振っていく中でアジャストできた」。八木の真ん中直球を振り抜いた。
飛距離はギリギリ。「頼む。届いてくれ」。願いながら見つめた打球はフェンスオーバーした後、グラウンドに跳ね返った。そのため一度、二塁で止まるシーンはあったが、腕を回す審判の姿を確認すると、今度は悠然と本塁へ向かった。
日本で12年、米国で5年。プロ17年目で日米通算250号にたどり着いた。ただ、「言われるまで知らなかった。今までの(本塁打)も覚えていない」という。個人成績にはほとんど興味を示さず、何より勝利を求める。そのスタイルは、どんな時でも変わらない。
昨夏のビジターだった。ミスをした若手が、ベンチで軽率な発言をしたことがあった。チームの一体感を乱す発言に激怒。「あいつの代わりに僕が守ります。代えてください」。当時の黒田ヘッドコーチに直訴。誰よりもチームとして戦う姿勢を体現してきた。
今も練習では若手には助言を惜しまず、キャンプ中は自ら音頭を取って外野手会を開催した。阪神3年目。チームのために全てをささげていく。「最後まで1番上にいられるように頑張りたい」。誰よりも勝利に飢えている男が、猛虎をさらに加速させる。