藤浪プロ初完投負けも「次につながる」
「巨人3-0阪神」(5日、東京ド)
最後まで投げきったが、勝利の女神はほほ笑まなかった。阪神の藤浪晋太郎投手(21)が8回を5安打3失点と粘りの投球で先発の役割を果たすも、打線の援護なく、プロ初の“完投負け”で今季初黒星を喫した。チームは宿敵・巨人に連敗し、2カード連続の負け越し。首位から転落した。だが、まだシーズンは始まったばかり。本拠地・甲子園に戻ってふんどしを締め直し、7日からのDeNA戦で巻き返す。
東京ドームがどよめきに包まれた。0-0の二回1死二、三塁。藤浪が投じた亀井への初球が、外角に大きく外れた。梅野のミットは届かない。まさかの暴投で三塁走者が生還。さらに左犠飛を浴び、2点の先制を許した。
「まっすぐが引っ掛からず、抜けてしまった。(序盤は)バランスが悪くて、上半身と下半身がかみ合わなかった。何とかごまかしながらの投球でした」
序盤は苦しんだが、中盤以降はカットボール、カーブなど変化球の割合を増やし、持ち味の修正能力を発揮した。中西投手コーチも「良くなかったけど、よく立ち直った」と及第点。七回に浴びた亀井のソロ以外、追加点を与えず、テンポよくアウトを重ねた。
ただ、投球で引き寄せた流れを自ら手放してしまう。三、六回に無死一塁の場面で打席に立つが、送りバントを連続で失敗。得点圏へ走者を送れず「自分の攻撃のところで流れを止めてしまった。一番反省すべきところだと思います」と猛省。和田監督も「そこだな、今日は。やるべきことができていないから相手にプレッシャーをかけられなかった」と敗因の1つに挙げた。
藤浪は逆転勝利を信じて、最後までマウンドに立ち続けた。0-3の八回、1番・坂本から始まる巨人打線を三者凡退に。九回の攻撃へ、希望をつないだ。今季初黒星を喫したが、8回を投げきり5安打3失点。球数も104球に抑え、「途中で切り替えて、まっすぐ変化球もしっかり投げられた。そのあたりは次につながると思います」と前を向いた。
オープン戦最終登板した3月22日。試合後に京セラドームの監督室に呼ばれた。和田監督から、「お前を中心にローテをまわってもらう」と開幕3戦目の登板日を告げられた。優勝候補の巨人、広島戦が続く日曜日登板。開幕投手の座はつかめなかったが、首脳陣の期待は意気に感じた。
昨季巨人戦は0勝2敗、防御率4・50。シーズンでは勝てなかったが、CSで勝利し決して嫌なイメージはない。この日、力投は報われなかったが、次回の伝統の一戦へ、つながるはずだ。
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