神は目覚めた!関本、初Hが同点打
「中日3-2阪神」(14日、ナゴド)
スタンドの願い。チームメートの期待。全てを背負ったベテランが、執念を見せた。阪神の代打・関本が今季初安打となる適時打。敗れはしたが、ベテランが輝きを放った。
バルデスの攻略に苦しみ、1点リードを許して迎えた八回だった。先頭の代打・狩野が左前打を放ち、バルデスのけん制悪送球などで1死三塁。大和の代打で打席に向かうと、大歓声に迎えられた。
2球で追い込まれた後、際どいコースへの変化球を3球見極めて、フルカウントまで持ち込んだ。
「ランナーをかえすんだという、その一心で打った。本当にそれだけ」
6球目。体勢を崩しながら外角のボール気味のスライダーを捉えた。右前で打球がはずむ。歓喜する三塁ベンチに視線を送ると、表情を緩めた。
今季6打席目での初安打は、試合を振り出しに戻す一打。3月28日・中日戦のサヨナラ押し出し死球以来となる打点も記録した。
「(追い込まれて)バットに当てるだけやったんでね」と謙遜しながら振り返ったが、和田監督は「しっかり仕事をしてくれたね」とたたえた。
昨季の代打成績は打率・238、1本塁打、チームトップの13打点を記録した。今季も勝負強さは健在。背景には日々の積み重ねがある。
代打が主な働き場となったが、今でもホームゲームは、早出でトレーニングに励んでいる。その後、グラウンドに出ると鳥谷、新井と内野でノックを受ける。変わらぬルーティンが、結果へとつながっている。
それでも結果が勝利につながらなければ意味がない。試合後は険しい表情でバスへと向かった。「またあしたやね」。短い言葉を残し、悔しさをにじませた。
