中谷プロ初安打 5年目13打席目ついに

 「阪神0-10広島」(9日、甲子園)

 一塁を回ると、口元が自然と緩んでいった。阪神・中谷が通算13打席目でプロ初ヒット。敗戦目前で沈んでいたスタンドが、大歓声で若虎の節目をたたえた。

 九回2死。代打で出番が訪れた。「あまり力みもなく、自然に入れた」。今村の3球目、真ん中への145キロを強振。低いゴロが二遊間を破り、中前で転がった。

 「1本出てほっとした。とりあえず結果が出てよかった」。3年ぶりに1軍へ昇格し、即先発した8日・広島戦は、2打数無安打で途中交代。チャンスが限られる中、ウエスタン首位打者が結果でアピールを果たした。

 待ち望んだ“第一歩”だった。2年目の12年は6試合に出場したが、ここ2年は1軍昇格すらなかった。昨オフは同級生の阪口が戦力外となり、即戦力として江越が入団。「結果を残せないとクビになる」。危機感は周囲にも伝わっていた。

 掛布DCは「今まではふっと抜けてしまうところがあった。諦めてしまうというかね。キャンプで江越が(1軍に)残ったのに、中谷は下がった。考えることもあると思う」。左膝の使い方など技術以上に、メンタルの変化を感じ取っていた。

 次は1軍定着が目標だ。「(出場)機会があれば頑張りたい」。中谷は手に残った感触を自信に飛躍を目指す。

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