「サン」ティアゴ初星で3連勝&3位
「中日1-2阪神」(15日、ナゴド)
「第5の男」が3位浮上へ導いた。阪神の新外国人、マリオ・サンティアゴ投手(30)が7回を7安打1失点の力投。来日初登板初先発で初勝利を挙げた。年俸1500万円の格安助っ人が、不振で出場選手登録を抹消されているメッセンジャーの代役を見事に務め、チームは逆転勝ちで今季3度目の3連勝。和田阪神にようやく、上昇気配が漂ってきた。
待ちわびたチャンスを一発でモノにした。「多くのファンの中で投げられて、すごく興奮しました。自分にとっても、いいゲームになりました」。サンティアゴは試合後、満足そうな表情で、勝利の余韻に浸った。「第5の助っ人」が、チーム今季3度目の3連勝、3位浮上に貢献した。
3アウトを奪うたび、飛び跳ねるようにベンチへ走る。和田監督が「一生懸命、必死に投げる姿勢が見えた」と評したように、ハングリー精神あふれる姿は見る者を引きつけた。投球でも粘り強く持ち味を発揮。きれいな直球は投げない。得意のハードシンカー、ツーシームを低めに集め、ゴロを打たせる。さらに緩いチェンジアップ、カーブで投球にアクセントをつけた。
「それが自分のスタイル。いつも練習しているように、試合の中でうまく出せました」
五回にドミニカ・ウインターリーグで対戦経験があるルナに右犠飛を打たれ、先制されたが、13年のWBC準決勝で日本相手に好投した右腕は、大崩れしない。7回7安打1失点にまとめると、八回に味方が逆転。1球、1球懸命に投げた111球が報われた。
いつ来るか分からないこの日のために体調管理を徹底してきた。鳴尾浜の昼食では体を気遣って、決まってカロリーの低いそばを手に取った。それも一杯ではなく、半分という徹底ぶり。過去には韓国でプレー経験があり、箸も器用に使いこなすという。来日したころと比べると、体つきはずいぶんシャープに。立ち位置は「5番目」も、いつでも1軍で戦える態勢を整えていた。
東京遠征中には同じプエルトリコ出身のヤクルト・ロマンと一緒に焼き肉へ。異国で奮闘する先輩と過ごした時間はかけがえのないもの。刺激を受けて、ジャパーニーズドリームへの思いを強くした。
「日本に呼んでもらえるというチャンスをいただき、初登板で初勝利を挙げられてチームに貢献できて、本当にうれしいです」
予想以上の働きで、21日・巨人戦に向かう可能性を残した。「全力で阪神の優勝に貢献したい」とファンへ約束したサンティアゴ。第5の助っ人が、苦しむチームの救世主となるかもしれない。