藤浪プロ初完封&G倒!聖地で大仕事
「阪神1-0巨人」(20日、甲子園)
さすが聖地の申し子だ。阪神・藤浪晋太郎投手(21)が9回2安打無失点でプロ初完封勝利となる3勝目を挙げた。自身とチームの巨人戦の連敗を止め、甲子園での連敗も止めた価値ある白星。チーム26年ぶり、自身初の毎回奪三振を含む137球の力投で最下位脱出。まだ遅くない。ここから反撃開始や。
1点で勝つと、心に決めていた。最後の打者・亀井は宝刀カットボールで退け二ゴロ。右拳を突き上げた藤浪に、最高の笑顔がはじける。待ちわびたプロ初完封勝利は1-0。甲子園の伝統の一戦。歓喜のシャワーを浴びたお立ち台では興奮から声を上ずらせた。
「正直、ちょっとしびれました。自分自身すごく気持ちが入っていましたし、『その1点で、絶対勝つんだ』と思っていました」
毎回の10三振を奪い試合を支配した。ピンチは2度だけ。2死から連打を浴びた四回はアンダーソンをカーブで一ゴロ。先頭からの2四球でピンチを招いた五回は、堂上を併殺打に打ち取り、本塁を踏ませない。甲子園での巨人戦初勝利はエース襲名への第一歩だ。
リーグトップの4完投。無尽蔵のスタミナは準備のたまものだ。ベンチに戻ると必ず500ミリリットルのペットボトルを手に取る。「1試合で、水とスポーツドリンクを合わせて、20本ぐらい空けます」。試合中は10リットル以上の水分を補給し、試合前には愛用のサプリメントを摂取する。効果は絶大で以前のように試合後半のふとした瞬間に「集中力が途切れることもなくなった」と話す。最高のパフォーマンスを発揮するため、試合前、そして試合中も、最善のコンディションを整えて試合に臨む。
最大のライバルは、チーム内にいる。昨オフ、初めて開幕投手に名乗りを上げた。大本命はメッセンジャーと分かっていても、宣言することで自分へプレッシャーをかけた。結局、昨季投手2冠に輝いた助っ人に落ち着いたが、高い志を持って過ごした期間は収穫。同時に大役への思いを強くした。「ライバルが誰かと言われたらランディです。同じ右ですし。今年ランディ以上の成績を残して来年の開幕投手を奪いたい」。3連続の中5日登板。不振で2軍落ちした助っ人に代わって、今や投手陣の大黒柱だ。
自身2試合連続完投でチームの連敗も3で止めた。「チーム状態が良くない中で、何とか勝ちたいと思っていた。(連続完投は)何回も続けてこそ意味があると思うので、気を抜かず、やっていきたいです」。3年目の進化を示すのはこれから。藤浪に覚醒の予感が漂っている。