和田監督、乱闘寸前 頭部死球に激高
「DeNA8-6阪神」(24日、横浜)
これほど怒りに燃えた指揮官は見たことがない。阪神・和田豊監督(52)が敗色濃厚の九回、先頭の上本博紀内野手(28)への頭部死球を巡って激高。DeNA・中畑監督につかみかからんばかりの勢いで大声で怒鳴り、両軍が本塁付近で乱闘寸前でもみ合った。結局、1点を返しただけで6-8で敗れたが、打線の状態は上向き。26日に開幕するパ・リーグとの交流戦へ、今こそ、熱くなれ-。
激しい衝撃音とともに、山崎康の投じた初球の直球が、上本のヘルメットをはじいた。背番号4がバッターボックスに沈むのが見えた。迷わずベンチを飛び出し、一直線に捕手の嶺井に詰め寄った。和田監督は、鬼の形相で何か言葉を発しながら、怒りをぶつけた。
「(嶺井に何か言われたのか?)いやいや、ぶつけて向こうから言ってくることはありえないからね。ただ、こっちはいくつもぶつけられているからね」
たまっていた思いが一気にあふれ出す。22日の対戦でゴメスと上本が死球を受けた。そして九回、先頭の上本への頭部死球だ。簡単に引き下がれるはずがない。
本塁付近に両軍が入り乱れ、つかみ合い、もみ合う。虎将は中畑監督と顔が付くような距離で、互いに怒鳴って感情をぶつけ合った。一度は引き離されても再接近し、騒ぎが収まったのは約3分後。九回の反撃は1点にとどまったが、敗戦の重さより、監督就任後初と言っていいほどの怒りが強く刻まれた。
試合後には、ベンチ裏で会見を行う場所で、まずDeNAの川村投手コーチから「故意ではありませんので」と謝られた。さらに中畑監督からも「和田監督、ごめんなさい。悪かった」と謝罪を受けた。握手も交わして和解。交流戦前最後の一戦は敗戦に終わって借金は「4」に。それでも、切り替えて前を進むだけだ。
「打線には動きがでてきたからね。ちょっとその分、点は取られているんだけど、ちょっとずつチームが動き出しているから。決して悪い状態で交流戦に入っていくわけじゃない」
開幕からここまでは苦しい戦いが続いた。先制されれば反撃できず、沈黙のまま敗れる試合が目立ったことを思えば、チーム状態は上向いてきている。3試合連続で初回の先制に成功していることがその証拠であり、3点差の九回にも同点、さらに逆転への雰囲気は感じさせた。
「セ・リーグの戦いはひとまず置いておいて、明日から新鮮な気持ちで戦いたいと思います」。前日までの流れだけでなく、上本からの反撃を信じていたからこその最後の怒り。逆襲へと高まる感情と共に交流戦に挑む。