上本 前日スタメン荒木に負けん気弾
「交流戦、西武9-2阪神」(30日、西武ド)
阪神・上本が菊池の速球をきれいに捉えた。六回2死。カウント2-2から振り抜いたのは内角に切れ込む147キロ。173センチの肉体を効率よく回転させ、打球を左翼席まで運んだ。阪神が昨季2戦2敗と苦にした左腕から、4月4日巨人戦(東京ドーム)以来となる2号ソロ。中村に2被弾を喫した大敗の中で、選手会長の負けん気弾は貴重な収穫になった。
「自分はホームランバッターじゃないので、あまり勘違いしないようにしたいです」。西武プリンスドームの長い階段を上りながら冷静にそう話した。
前夜は二塁スタメンを荒木に譲る形で出番なくゲームセットを迎えた。どんな状況下でも自身の立ち位置を謙虚に見つめ、日々向上にまい進している。試合前練習ではオマリー打撃コーチ補佐に助言を求め、フリー打撃では和田監督からも直接、指南を受けた。目指すスタイル、照準を本塁打に定めることはないが、12打席ぶりの安打がフェンスオーバーにつながったことはフォーム固めの途上、良薬に違いないだろう。
八回に岡本篤の直球が頭部付近をかすめた。24日DeNA戦の頭部死球がフラッシュバックしたが、「大丈夫です」。雄星撃ちが勝利に直結しなければ満足感はない。寡黙で人一倍責任感の強い男。上本が巻き返しの旗頭になれば猛虎は必ず息を吹き返す。