「交流戦、阪神１１－４日本ハム」（１６日、甲子園）

　雨脚が強くなってもマウンドは譲らない。阪神・岩田がプロ通算５０勝。節目の白星を今季２度目の完投で飾った。

　「最後はバタバタしたのでスッキリしないけど、勝ったので」

　狙い通りの併殺打でリズムに乗った。３点リードの四回無死一、三塁。大阪桐蔭の後輩中田をツーシームで遊ゴロ併殺に仕留めた。「最近ゲッツーが取れていなかった。中田翔をゲッツーに取ったのが大きかった」。２７個のアウトのうちゴロアウトは約半数の１３個。岩田らしい投球で試合の流れを引き寄せた。

　「入団したころは、何勝できるかなんて考えへんかった。２００勝かな。それなら４０年かかるか（笑）」

　６月上旬、プロ通算５０勝を目前にして、豪快に笑い飛ばした。プロ１０年目。順風満帆な野球人生ではない。プロ３年目に初の２桁勝利を挙げ、ＷＢＣメンバーにも選ばれた。前途洋々に思えた未来もそこから試練の連続だった。左肘の手術も経験した。それでも、諦めない理由がある。

　「病気のこともあるし、簡単にはやめられへん。オレ１人やし」

　高２の冬に発症した１型糖尿病。プロ野球でプレーするのは岩田ただ１人だ。お立ち台では「うれしいですけど、ただ、もうちょっと早くできたかな」と言った。応援してくれる人がいる限り、岩田は左腕を振り続ける。