出たゴメ弾!虎の4番がチーム救った
「広島6-6阪神」(23日、長野)
圧巻の弾道が長野の夜空に舞い上がった。誰もが確信した。三塁ベンチから拳を突き上げるナイン。歓喜に包まれる左翼席。阪神・ゴメスが今季初の逆転弾だ。勝利には結びつかなかったが、主砲が存在感を示す一発を放った。
1点を追う八回1死一、三塁。初球だった。大瀬良の真ん中低めへの146キロを完璧に捉えた。
「自分としてはストライクゾーンに来るボールを積極的に行こうと、それだけを考えていた」
バットを振り抜いた直後にスタンドインを確信し、ゆっくりと歩き出す。打球は99・1メートルの左翼フェンスを軽々と越えて左翼席中段に到達。本塁で待ち受ける鳥谷、福留らの前で力強くほえた。
14日のオリックス戦以来の7号3ラン。14年6月12日のロッテ戦以来、来日2度目の逆転本塁打となった。和田監督が「あれが4番の仕事だね。これからもいい状態で入ってくれればいい」と称賛する働きだった。
ミスを取り返す一振りでもあった。初回1死一、三塁は、黒田の146キロのツーシームに詰まって遊ゴロ併殺打。三回の守りでは、2死一、二塁で一ゴロを失策。失点にはつながらなかったが、先発・岩田の足を引っ張ってしまっていた。
それでも気持ちの切り替えが一発を生んだ。「毎試合、自分ができることをやろうと思っている。ベストを尽くすつもりでやっているし、きょうはそれがいい結果につながったのかなと思う」と振り返った。
九回に追いつかれた直後は、ショックを隠せずに無表情になった。延長に入ると気分を一新して、ベンチ最前列から声援を送り続けた。だが、引き分けに終わると、徒労感を隠せず、重い足取りで引き揚げた。