福留 ゴメスと2日連続2者連続弾
「阪神6-2DeNA」(28日、甲子園)
期待の大きさが歓声に乗り移った。背番号8に降りそそぐ、とめどない「放り込め」コール。阪神・福留が、またもファンの後押しに応えた。2試合連続の12号先制ソロ。今季、藤浪の登板試合で5本目の一発で、チームは5戦全勝となった。「藤浪の登板+福留の本塁打=勝利」。無敗の計算式が再び成立した。
四回1死。「追い込まれていたので、来た球を打とうと思った」。三浦の高めに浮いたスライダーを強振。打球はその瞬間だけ本塁から中堅へ吹いていた追い風に乗り、背走を諦めた右翼・梶谷の頭上を越えた。
今季は次世代のエースをバットで援護する試合が目立つ。12本塁打中、半分近くを藤浪の登板試合で放った。「僕だけじゃなくて、全員で援護できてよかった」と控えめだったが、以前から相性は抜群。自身が阪神に入団した13年から、藤浪が登板した試合で本塁打を放てば、チームは負けなしの9連勝だ。
将来の球界を背負う右腕には大きく成長してほしい。「彼も修正して修正して今の状態にいるから」。日々の援護はシーズン序盤の不振を乗り越えた後輩へのエールでもある。
連続試合安打は今季自己最長の7試合まで伸びた。今後も失速しそうにない。ティー打撃から多様なアプローチで微調整を行っている。左足のかかとでボールを踏んでスイングすることもあれば、バットを握る両手の間隔を極端に空けてスイングすることもある。
「(日々の)感覚があるから」。試合ではいつも同じタイミングで打てるわけではない。実戦を見据えた取り組みが、抜群の安定感を生む。体の状態に不安がない今、経験に培われた修正法を持つベテランにスキはない。
3番に入ってから、チームは引き分けを挟んで6連勝。神懸かった活躍を見せる男が、チームを軌道に乗せた。