福留2発4打点!守っても美技魅せた
「DeNA6-7阪神」(4日、横浜)
打のヒーローは間違いなく、この男だ。阪神・福留孝介外野手(38)が今季2度目の1試合2本塁打。四回に右越えソロ、六回には中越え3ランをたたき込み、山本のプロ初勝利をアシストした。これで12試合連続安打と好調な3番打者が、これからもチームを引っ張り、若虎を支えていく。
これ以上は負けられない。初先発の山本を勝たせてやりたい。思いを込めた福留のスイングが流れを手繰り寄せる。曇天模様の横浜にかけた鮮やかな2本のアーチ。連敗ストップとなる山本の初勝利を力強くアシストだ。
「(初回に)ポン(上本)が打ってその後のチャンスで打てなかったから。初先発だったしね。何とか勝たせたかった。(勝たせたいと思わせるのは)あいつの人柄だろ」
初回無死二塁では空振り三振に倒れたが、続く2打席目だ。1点リードの四回、先頭で打席に立ち、山口の直球をはじき返して右翼スタンドギリギリの13号ソロ弾に。「風に助けてもらいました」。貴重な追加点をもたらした一打。この日はこれで終わらなかった。
簡単に流れを渡さない。1点差に迫られた直後の六回2死一、二塁だった。「バッター有利のカウントだったから」。3ボール1ストライクからの小杉の直球を振り抜くと、一直線に伸びた打球はバックスクリーン直撃の14号3ランとなった。
試合中に広報を通して「山本が頑張っているので援護することができて良かったです」と振り返った一発。6月27日・DeNA戦以来、今季2度目の1試合2本塁打に加え、守備では八回1死三塁でバルディリスの右中間への打球を好捕。攻守にわたって山本の初勝利を助けたが、後輩思いの働きはこの日だけじゃない。
自身が休養でスタメンを外れた、1日・ヤクルト戦のこと。試合前、外野で守備練習中の大和に近づき、バッティングについて言葉を交わしていた。納得する結果が出ていなかった大和に、身ぶり手ぶりで思いを伝えた。苦しんでいる時こそ迷わず手を差し伸べる。チームに欠かせない頼もしい存在だ。
試合後には「(山本は)緊張しすぎ。ソワソワしすぎ。高校野球じゃないんだから。もう少し落ち着かないと」と話したが、勝ったからこそ前向きに振り返れるというもの。若武者の、今後の自信につながる勝利をもたらす躍動となった。