マートン、クロマティ超え952安打
「巨人4-2阪神」(10日、東京ド)
阪神・マートンが東京ドームの通路を引き揚げていると、巨人側のヒーローインタビューが響き渡っていた。「オヒサシブリデス!」。約1カ月半ぶりに勝利を飾ったポレダがG党の大歓声を浴びる。チームが4戦4敗を喫した天敵左腕の歓喜を耳にしながら、マートンは悲壮感なく語った。
「結果はヒット1本だったけれど、感覚は悪くなかったよ。3打席目はちょっと納得いってないんだけどね。でも、それ以外の打席はまずまずだったんじゃないかな」
二回先頭でポレダの初球スライダーを捉え、左翼フェンス直撃のヒットを放った。あと1メートルでフェンスオーバーという大飛球で7試合連続安打。この1本で来日通算952度目のHランプをともし、巨人のレジェンド助っ人、クロマティの安打数951を上回った。セ・リーグに在籍した歴代助っ人で単独5位の記録。本人がそんな数字を知るよしもないが、「クロマティ超え」は助っ人の偉大さをはかる指標になることは間違いない。
シーズン序盤の暗く長いトンネルから完全に脱却した。交流戦明け、リーグ再開後は16試合連続出塁。振り返れば、5月3日以来の敵地巨人戦。3-10の大敗を喫したあの日、背番号9は4打数無安打に倒れ、打率は・241まで低下。試合後、フラストレーションを隠さなかった。この日の敗戦で東京ドーム5連敗となったが、今のマートンには反発力の先頭に立つ期待感がある。
僚友ゴメスはマートンがどん底だったときにこう言っていた。「彼は本当に素晴らしい打者で僕にとっては先生のような存在なんだ。個人的にはずっと一緒にクリーンアップを続けたいよ」。この夜もアベック安打を奏でたGMの固い絆が続けば、虎打線の視界は開けるはずだ。