「巨人２－４阪神」（１２日、東京ド）

　教科書どおりじゃなくてもいい。とにかく前に飛ばすんだ。差し込まれながら、最後はのけ反るように打った。「満塁だったし、何とか食らいついていこうと。真っすぐが速いし、食らいついた」。マシソンの１５４キロ、内角速球に阪神・新井良の意地が勝った。左翼前へ力ずくで持っていくと左こぶしを突き上げた。

　八回、狩野の勝ち越し打が出た直後に代打に立った。１死満塁。和田監督が「あの（狩野の）１本で終われば後の投手が苦しいから」と是が非でももう１本ほしい場面だった。１ボール２ストライク。混セの首位決戦で「３タテはよくない」。強い思いで放った一打。これで今季、満塁では５打数４安打、６打点。“満塁男”の本領発揮だ。

　「稔のために」としばしば口にする。同級生で仲のよい岩田の登板日、新井は通算打率・２９９と好成績を残している。勝ち星はつかなかったが、好投した左腕をねぎらう一打にもなった。

　代打稼業で勝負することが多い今季、「どういう状況でもしっかり準備して臨む」と腹をくくる。これで今季の代打打率は・３０３。「明日からまた練習。あさってからの広島戦も頑張ります」。どんな時もひたすら前を向く。良太の真骨頂が、意地の１勝を引き寄せた。