「阪神３－１中日」（１１日、京セラ）

　塁が埋まれば良太に任せろ！だ。また、打った。やっぱり、打った。初回の猛攻ドラマは阪神の満塁男が主演を張った。先頭鳥谷の二塁打を起点に打線がつながった。ゴメスの先制打でのっけから猛虎打線がスイッチ、オン。マートンもヒットで続きフルベースの絶好機が巡ると、いとおしいデータがモノを言った。

　新井良が練習では打つことのない難コースに腕を伸ばした。外角低めのチェンジアップに食らいつくと、運も味方する。打球は一塁ベース手前でわずかにバウンドが変わり、森野のグラブをかすめて右線へ転がった。二塁にストップしかけたマートンも慌てて三進。２点二塁打であっさりと主導権を奪った。

　「満塁だったし、何とかしたいという気持ちはありました。本来は振るべきボールじゃないけれど、結果として２点入ったのは良かった。ま…ラッキーでしたけどね」

　この適時打で満塁機は７打数６安打１１打点。打率にすれば・８５７と驚異的だ。

　「満塁ということでプレッシャーにならないように…。しっかりスイングしようと打席に入っていることがいい結果につながっているのかなと思います」

　運も味方につけた夜、試合前にはビッグニュースが飛び込んできた。なでしこジャパンの澤穂希が結婚－。１２年５月にＯＢの桧山進次郎氏を通じて知り合った女子サッカー界のレジェンドとは、ラインで連絡を取り合う仲。ロンドン五輪の前には「日本に帰ってきたら金メダルの祝杯をあげましょう」とエールを送ったこともあった。「相手の方はどんな人なんでしょう。澤さんに連絡してみますよ」。そう話して吉報を喜んだ。

　「ストライクをしっかり打ち返せるようにやっていきたい」。運も実力のうち…とあぐらをかかないスタンスが満塁男の勝負強さに磨きをかける。