狩野弾「興奮」虎5連勝で貯金最多7
「阪神4-1中日」(13日、京セラ)
一振りで決めた!阪神・狩野恵輔外野手(32)が八回、左中間席へ決勝の3号ソロを放った。代打の切り札が、この試合は3番でスタメン起用。3打席無安打だったが、第4打席で期待に応えた。猛虎は今季2度目の5連勝で、貯金は最多の7。これで2位ヤクルトに、今季最大の2・5ゲーム差を付けた。
無我夢中だった。狩野はバットを振り抜くと、自然にほえていた。「こういうことはあまりないのでね。きょうのホームランは本当に興奮した」。一塁を回ると手をたたいて、またほえた。ベンチ前では叫びながらハイタッチ。背番号99のけたたましい雄叫びが猛虎をさらに加速させた。
同点の八回2死だった。休養日の福留に代わり、7月1日のヤクルト戦以来の3番で先発も、3打席目までは凡退。気持ちをリセットして打席に入った。
「代打の感覚でいこうと思った。ずっと先発ではないので、いつもと違う部分があった」。追い込まれた後もファウルでタイミングを合わせ、フルカウントからの8球目。又吉の真ん中スライダーを捉え、左翼席へ決勝3号ソロをたたき込んだ。
お盆休みとなったこの日、京セラドーム主催試合では05年の実数発表以降、最多の3万5280人が詰めかけていた。満員のスタンドもお祭り騒ぎ。苦労人の一発を祝福した。
プロ14年目の昨季はファーム暮らしが続いた。若手に出番が与えられ、2軍でも出番は減った。立場があやうくなっていることも自覚していた。それでも腐らなかった。「若い時にはチャンスをもらったわけだから」。練習も手を抜かず、1打席に集中する。劇的な一発は真摯(しんし)に野球へ向き合った結果でもあった。
前夜の勝利がフラッシュバックする展開だった。12日の中日戦。坂が決勝打を放った場面も、この日と同じ1-1の八回だった。
「たまに出る僕らが頑張る姿を見せないと、チーム一丸とは言えないのでね」
バイプレーヤーの連夜の活躍で5連勝を飾り、貯金は今季最多の7。2位・ヤクルトとのゲーム差は今季最大の2・5差とした。
ただ、まだ気は抜けない。14日からはヤクルト、巨人とビジターで6連戦。関東遠征の結果は今後を大きく左右する。
今は目の前の試合に集中するだけだ。狩野はチームの思いを代弁した。「お客さんと喜べるように一戦一戦、頑張りたい」。猛虎は着実に一歩ずつ悲願への道を切り開いていく。