和田監督「全力尽くした」切り札使えず
「巨人2-1阪神」(20日、東京ド)
どちらが首位チームなのか分からないほど、宿敵に力の差をまざまざと見せつけられた。阪神が今季初めて巨人3連戦3連敗を喫する屈辱を味わった。
「今日は4番が打てなかったから仕方がない」。まず和田監督は3度、得点圏に走者を置いた場面で凡退した、大ブレーキのゴメスに言及し嘆いた。しかし、そうは言っても終盤の拙攻もお粗末だった。
七回には1死二塁で代打の伊藤隼が凡退するなど無得点。九回にも1死二塁と絶好の勝ち越しチャンスをつくったが、俊介、代打の新井良が凡退。「(藤浪が)抑えている間に1点取らないとあかん」と野手陣に苦言を呈したが、これだけの投手戦で、最大の切り札である狩野を最後まで起用できずに負けたのも事実だ。
藤浪が、九回に自らのバント処理のミスもあって無死満塁のピンチを招くと、指揮官が動いた。藤浪の降板を決断し、呉昇桓にスイッチ。結末は、残酷なサヨナラ負けだ。「そこにいくまでの過程がね。エラーもあって本人(藤浪)もあそこでいっぱい、という判断」。若き右腕と心中して最後まで投げさせるか、八回まででスパッと代える手もあった。後味の悪さが残ったのは否定できない。
メッセンジャー、能見、藤浪と柱の3投手をつぎ込んで宿敵に3連敗は痛すぎる。昨年は勝負どころの9月、一昨年も8月に巨人に3連敗しV逸に直結した。5試合を残して今季の4年連続の巨人戦負け越しも決まった。
「全力を尽くした結果。こんなんで、へこたれんと、またあしたからいきます」。和田監督は自分に言い聞かせるように話し、前を向いた。2位の巨人との差は一気に縮まって0・5。正念場を迎えた虎。危機感は、募るばかりだ。