鳥谷0-0打破の千金V撃!虎堅首や!
「中日0-3阪神」(4日、ナゴド)
頼りになるキャプテンの一打で首位をキープや!阪神は0-0の八回1死二塁、鳥谷敬内野手(34)が左翼線にタイムリー二塁打を放ち均衡を破った。六回にも11試合連続安打となる中前打を放ち、マルチ安打の活躍。ヤクルト、巨人との優勝争いが激しさを増す中で、チームを2連勝に導いた。
キャプテンが鮮やかに均衡を破った。プレーボールからわずか1時間59分で迎えた八回。代走の大和を二塁に置いて、初球のチェンジアップを左翼線の10センチ内側へ鋭く転がした。
「チャンスだったので、とりあえず初球からいこうと思って…」
ナゴヤドームの大型ビジョンに映し出された他球場の途中経過で2位ヤクルト、3位巨人がリードしていた。何が何でも欲しかった先制点を鳥谷の積極性でもぎ取り、メッセンジャーを援護した。虎は初モノに弱い…ありがたくないレッテルを胸のすくようなスイングで剥がして見せた。
シーズン途中加入したネイラーを打ちあぐねた。豪州出身の196センチ右腕の前にリードオフマンは初回から2打席連続三振を喫した。福留を4番に据えて2戦目の新打線が七回まで散発3安打。和田監督が「ひと回り目は手も足も出ない感じだった」と振り返った苦境を、虎史上歴代3位のバットマンが救った。
「最終的に勝てればいいので…。勝てればいいと思う」。難敵に土壇場まで封じ込まれても、どれだけ不格好でも、最後に1点多く取っていればいい。残り22試合。手を焼いて挙げた63勝目を本音、本心で振り返った。
3日の広島戦で通算1740本目の安打を記録し、歴代3位だった和田監督の安打数を上回った。感想は「良かったです」。素っ気ない言葉通り、この数字に特別な感慨はない。個人記録に言及したがらない鳥谷が常々言う。「自分に休むという選択肢はないんです」
12年開幕から1イニングも代役を立てない連続試合フルイニング出場はこの夜、553試合を数えた。今季内外野で起用される大和は「内野手の1試合の疲労度は外野の5試合分くらいだと思う。それをショートというポジションでこれだけ試合に出続け、なおかつ結果を出す…もう尊敬しかない」と話す。
背番号1の1743本目の安打が決勝打になった。取りこぼしが命取りになるシーズンの佳境で最下位中日を着実にたたいた、この夜の意義は大きい。試合終了でベンチへ帰ると、平田ヘッドコーチから「お前がヒーローだ」と無理やり右手を担がれ、苦笑いした。10年ぶりの歓喜をチーム全員で分かち合うため、鳥谷は自らの使命を完遂する。