停滞感取り払う…藤浪「負けられない」
15日・中日戦(甲子園)に先発する阪神・藤浪晋太郎投手(21)が14日、甲子園で行われた投手指名練習に参加し、キャッチボールなどで最終調整した。チームは引き分けを挟んで3連敗し、首位ヤクルトから0・5ゲーム差の2位に転落。藤浪で負ければ、チームは一気に土俵際に追い込まれる気配すら漂う。大混戦のペナントレース生き残りへ充満する重苦しい空気を剛腕が振り払う。
首位に立っていた1週間前から、ペナントレースの流れは一変した。猛虎は引き分けを挟んで3連敗。ヤクルトに首位の座を明け渡し、3位巨人とゲーム差なしの2位に転落した。ショックが残る敗戦からチームには停滞ムードが充満。15日・中日戦は正念場となりそうだ。最下位相手に、取りこぼしは許されない。藤浪が悲壮な覚悟を口にした。
「勝ちたいですし、大事な試合。もう1試合も負けられる試合はないので、しっかり投げたいです。さらに内容も良くして、チームが勢いづく投球ができればいいと思います」
残り15試合。トーナメントさながらの精神で戦っていく。今季2度目の対戦となる中日の先発はエース大野。最多勝のタイトルを争う相手に「そう簡単に点を取れる投手ではない。ロースコアになると思う」と僅差の勝負を覚悟する。
前回9日・巨人戦は走攻でも勝利への執念を示した。「自分の判断」でセーフティーバントを試み、天敵マイコラスをゆさぶると、安打で好機を広げ、二塁へ激しいスライディングで併殺を阻止。闘争心で得点をもぎ取った。「ピッチャーが打つとチャンスになりやすいので、打席も真剣に取り組みたい」。今季打率・163、得点圏打率・429は9人目の野手としての自覚の表れだ。
こだわりの数字へ、手の届きそうなところまで来た。開幕前に唯一、数字目標に掲げた年間180イニングまであと9。「180イニングは今シーズン、自分が挙げた目標ですし、9回完投はマウンドに上がれば、誰しも目指すものなので。1イニングでも多く投げられるようにしたいです」と力を込めた。
15日・中日戦の次は優勝を争うライバルのヤクルト、巨人の動向を見ながら、21日・ヤクルト戦(甲子園)、もしくは22日・巨人戦(東京ドーム)に向かう。今後もエース級との投げ合いが予想されるが「自分の仕事をすれば勝ちにつながってくるし運も来る。勝てば優勝に近づいていくと思います」と力強く言った。デッドヒート生き残りへ苦しむ猛虎を藤浪が蘇生させる。