【緊急連載2】外国人コントロール失敗

 「熱くなれなかった和田野球(2)」

 昨季首位打者のマートン、打点王のゴメス、最多勝、最多奪三振のメッセンジャー、最多セーブの呉昇桓。4人のタイトルホルダーはセ界最強と恐れられた。チームもこの4人を中心とした編成を組んだ。これがつまずきの原因となった。

 開幕して間もなく来日6年目を迎えたマートンが不振に陥った。打率は・250前後に低迷。打てないイライラ。いつしか、ダイヤモンドではなく、後ろを向いて野球をするようになっていた。球審の判定に明らかに不満な態度を見せ、ときに『ここを通った』と言わんばかりに、グラウンドにバットで線を引く審判に対する侮辱行為まで平気で犯すようになった。それでも退場にはならなかった。ある審判に聞くと「本当なら退場。でも阪神の選手からも“アイツは相手にしないで”と言われているから」とあきれ顔で話した。すでにチームメートからもあきれられる存在になっていた。それでも首脳陣は改心させることができなかった。

 9月2日の甲子園。2位ヤクルトに2ゲーム差に迫られた中での広島戦が数時間後に始まろうとしていた。そのとき、聖地の上空に小型無人機「ドローン」が飛んだ。球場職員、球団幹部が何事かとグラウンドに飛び出す緊迫の状況。操縦していたのはゴメスだった。その場で厳重注意を受けたが、その試合で4タコ、3三振の体たらく。なぜグラウンドに出る前に止められなかったのか。しらけたムードがチームに充満した。

 外国人頼みのチーム。打てなくても先発メンバーから外れることはなかった。緊張感のなさは態度に表れるようになる。日本選手の視察に来たあるMLB球団の幹部は「彼らのあの態度はなんだ!」と憤慨したと言う。メジャーでは絶対にしない。日本の野球をナメていると見たのだ。

 そして、メッセンジャーは信じられないプレーをする。4月22日のDeNA戦の三回。打席に入ると構えることもせず見逃し三振。四回1死一塁にはバントのサインを無視し勝手にバスターを敢行するも空振り。結局3球三振に倒れた。ベンチの指示を無視する背信行為。それでもローテーションから外れることもなかった。

 呉昇桓は昨季を上回る41セーブを挙げたが、他の3人は軒並み成績を落とした。特にメッセンジャーは9勝12敗。28日現在、能見と並ぶリーグ最多敗となっている。

 中4日、中5日、勝てなくても大車輪で投げ続ける助っ投。やがて投手陣からも疑問の声が上がるようになる。【特別取材班】

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