【緊急連載5】失速の原因は偏りドラフト
「熱くなれなかった和田野球(5)=最終回」
いつからだろうか。恒例と言われるようになった“秋の失速”。優勝を狙う位置にいながら9月を迎えるころに力を落としていく姿を虎党は何度も目にしてきた。
その大きな原因は戦力にあると取材班は見る。名前だけ見れば他球団にひけを取らないどころか、恐れられる戦力といえる。だが、それはベストメンバーで1年間戦えたらの話。長いシーズンの中ではケガもあり、不調もある。まして、今年で39歳を迎える福原、藤井を筆頭に38歳の福留、安藤、鶴岡、36歳の能見と30代後半が主力を占めるチーム。バックアップの準備は不可欠だが、果たしてできていただろうか。
昨年オフも補強に走った。FAで中日・山井、日本ハム・宮西、ロッテ・成瀬、オリックス・金子。さらにメジャーから復帰の中島と手当たり次第に手を挙げながら全敗。唯一、中日を戦力外になった森越を鳥谷流出に備えて獲得したくらいだった。補強ゼロに等しい態勢で今季に臨まねばならなかったわけだ。
そもそも補強頼みのチーム編成に無理があった。FA、トレードも手段ではあるが、ドラフトでの選手獲得、育成がメーンでなければ、長く常勝チームをつくることはできない。ここ数年はメジャーから復帰の選手、FA補強を毎年のように繰り返してきた。本来ならば、補強でしのぎながら、次代の選手を育成するのが理想だが、そうはならなかった。
それは獲得する選手に偏りがあるからだ。2008年に高校生と大学社会人のドラフトが統一されて以降、阪神がドラフト1位で獲得した選手は7人。この内、高校生は藤浪ただ1人。あとは大学、社会人。即戦力と言われる選手ばかりを指名してきた。
ドラフトを前にスカウトを取材すると「あとは監督がどうするかやな」という答えが返ってくる。阪神のシステムはこうだ。指名候補をスカウトがリストアップ。その中から最後は監督が指名選手を決める。この方法だと、指揮官に契約年数が残っているなら、高校生の好素材の獲得も期待できるが、契約最終年で来季に勝負をかけるならば、即戦力を指名することになる。当然のことだ。
その結果が和田監督の3年契約の最終年となった一昨年は岩貞であり、1年契約を結んだ昨年の横山となったわけだ。昨年に関して言えば2010年から高校生を指名する枠としてきたドラフト2位も社会人出身の石崎を指名した。
そして、残念ながら即戦力として指名した選手が期待した成果を挙げられなかった。ベテラン頼みのチームは秋口を迎えて、すっかり疲れ切っていた。
正捕手は?鳥谷の次の遊撃手は?安藤、福原に代わるリリーフは?課題は山積しているが、今季を見る限りその答えはまったく見えてこない。今月22日、今年もドラフト会議が行われる。(おわり)【特別取材班】
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