金本氏 監督交渉難航、心情面で“壁”
金本新監督誕生に暗雲!阪神と金本知憲氏(47)の監督要請交渉が難航していることが2日、明らかになった。1日に兵庫県内で極秘裏に行われた初交渉の中身が一部判明。監督経験のない金本氏にとって、猛虎の一大改革を引き受けるには、心情面で埋めきれない壁があったという。歴史的な交渉の道のりは前途多難の様相を呈してきた。
大粒の雨が降り注ぐ兵庫県内のホテルで1日に行われた初の監督要請交渉は、必ずしも順調ではなかったことが判明した。金本氏と交渉に臨んだ南球団社長はこの日、デイリースポーツの取材に「何もお答えできない」と口をつぐみ、表情を曇らせた。
約2時間に及んだ直接要請は双方にとって有意義な時間になったのか。交渉の席上、球団側は金本氏に来季監督の就任を正式打診し、チーム改革の必要性を訴えたが、金本氏は回答を保留。最大の障害は条件面ではなく、同氏の心情面だった。
指導者の経験が皆無という点で戸惑いや不安が先立つのは当然。まして、10年間もリーグ制覇から遠ざかるチームには課題が山積している。関係者の話を総合すると、対話は終始和やかなムードで進んだようだが、交渉成立への道のりは平たんではないという。
金本氏はかねて監督要請を受けたことを仮定し、「一度でも経験があれば別だけど、自分にはコーチや監督の経験がない。指導者になれば、その世界では1年生なわけだから。チームを立て直す仕事を預かるなんて想像もできないし、荷が重過ぎる」と話していた。球界一とされる重圧を背負う阪神の監督業は、過去には指導経験豊富な野村克也、星野仙一両氏でさえ、「要請→受諾」までに相当な時間と対話を要した歴史がある。
阪神は昨年オフも金本氏に非公式で入閣を打診している。球団関係者によれば要請の席上、同氏は私見としながらさまざまな観点で改革論を提唱していたという。勝負どころで勝ち切れないひ弱な体質や有望な若手が一流に育たない育成問題等は、外的な補強を重ねれば解消されるものではない。フロント、現場が一体となって旧態の体質を根っこから改善しなければ、真の再建など夢のまた夢。各面で過酷なハードルが混在することを知る責任感の強い金本氏だからこそ、並大抵でない重責を軽率に引き受けることはできない。
阪神が一大決心で臨んだ就任要請は前途多難な幕開けとなった。心情面の壁をクリアにできなければ交渉の難航は必至で、決裂の可能性も否定できない。