後がない和田虎…押し出しサヨナラ負け
「CSファーストS・第1戦、巨人3-2阪神」(10日、東京ドーム)
阪神は延長十回、押し出しでサヨナラ負けした。3四球などで1死満塁とされると、4番手の高宮和也投手(33)が代打・高橋由に四球。11日の第2戦で、敗れるか引き分けで敗退が決まる崖っぷちに追い込まれた。昨年逃した日本一を奪うためには、もう勝つしかない!
虎党のため息は、G党の歓声にかき消された。2-2の延長十回、3四球で1死満塁とされると、高宮が代打・高橋由に押し出し四球。延長戦まで持ち込みながら、あっさりと土俵を割ってしまった。
「めいっぱいいって、全力を尽くした結果なんで」。和田監督は、悔しさを押し殺し、言葉を絞り出した。
守護神・呉昇桓の不在はあまりにも大きかった。先発・藤浪の後、七回から岩崎が2イニング、そして九回は安藤が無失点でしのいだ。しかし延長十回、安藤がそのままマウンドへ。先頭の坂本に四球を出したところで高宮にスイッチしたが、やはり荷が重かった。
1死二塁で長野を敬遠気味に歩かせたまでは計算通りだが、亀井にも四球で満塁。高橋由への四球で試合は終わった。この回、安藤も含め4四球。無安打で決勝点を失った。
和田監督は打倒・マイコラスのため、打線を大幅に組み替えて臨んだ。故障から復帰した上本を1番、今成を2番に入れ、レギュラーシーズンでは1番起用にこだわってきた鳥谷を3番に据えた。マイコラスにはレギュラーシーズン5試合で0勝3敗、防御率1・50と抑えられており「ずっとやられてたので。同じようにいったら同じやられ方するだろうし」と、宿敵を打倒するための決断だった。
0-2の七回、先頭の福留、マートンの連打などで1死二、三塁とし、梅野の中前適時打と代打・西岡の中犠飛で同点とした。しかし勝ち越すことはできず、その後はあと1本が出ない、今季を象徴するような展開。「よく追い付いたけど勝ち越したかったね」と、指揮官は嘆いた。
もう後がない。引き分けすら許されない。第2戦を、今季限りで退任する和田監督のラストゲームにするわけにはいかない。平田ヘッドコーチは「選手たちはまだ諦めていないよ」とナインの思いを代弁した。
虎将は「そういうつもりでいきます」と総力戦を宣言した。失うものは何もない。全員の力を集結し、白星をつかむ。未来へ希望をつなげる。