金本氏口説き文句は「覚悟決めてくれ」
覚悟を決めて引き受けてくれ-。OB金本知憲氏(47)に来季新監督の就任を要請している阪神・南信男球団社長(60)の口説き文句が15日、明らかになった。就任に前向きでなかった金本氏との交渉は難航し、一時は決裂もささやかれていたが、球団トップは誠心誠意、共闘を訴えた。金本氏の座右の銘「覚悟」という言葉を持ち出し、最後のラブコールを送っていた。
南球団社長は今か今かとそのときを待っている。坂井オーナーから一任されたレジェンドOB招聘(しょうへい)の大仕事は佳境を迎えた。金本氏との今月1日から12日まで計3度の交渉で阪神側の熱意を訴え、誠意は尽くした。受諾か否か…返答の期限は今週末の17日に迫る。この日、これまで明らかにならなかった交渉のやりとりが一部判明した。
球団関係者によれば正式な監督就任要請は3度目にして初めて行われたというが、この席上、南球団社長は取っておきの口説き文句を準備していた。
「覚悟を決めて、引き受けてくれないか」
球団トップは金本氏の座右の銘ともいえる「覚悟」の2文字を持ち出し、一貫して慎重な姿勢を崩さなかった“恋人”に熱っぽく、最後のラブコールを送ったという。
和田監督の退任会見が行われたのは、その翌13日。電鉄本社で南球団社長は「チームの雰囲気、ムードを変えたい。一からつくっていくつもりで、来年よりも再来年、さらにその次とチーム力が上がっていくように…。フロントもそういう覚悟を決めてやらないといけない」と発言。「今は申し上げられない」と、個人名こそ明かさなかったものの、この席でも金本氏を意識したかのように「覚悟」というフレーズを引用し、チームの再建、共闘を訴えていた。
金本氏は現役時代、40歳で初著書「覚悟のすすめ」(角川新書)を執筆した。「覚悟を決めれば、どんなことでも乗り越えられる」「信頼してくれる人のためには、命をかけるくらいの覚悟で報いようとしなければならない」-。その固くブレない信念を勝負どころで停滞したチームに注入してほしい。何としても、猛虎を変革したい。南球団社長の本気度は鉄人の心に響いたのだろうか…。
金本氏は13日、本紙の取材に応じ「あまり長引かせるのは良くない。今週末にははっきりさせようと思う」と発言した。道筋ははっきりした。歴史的な決着までいよいよカウントダウンが始まる。