金本監督 鬼になった!初日から怒号
「阪神秋季キャンプ」(1日、安芸)
阪神の秋季キャンプが1日、高知県安芸市の安芸市営球場でスタートし、金本知憲監督(47)率いる新生阪神が本格始動した。指揮官は盗塁練習で育成・田面巧二郎投手(24)の態度に激怒。いきなり鬼になった。意識改革をテーマに掲げ、1年目から結果にこだわる新指揮官の信念が初日から形になって表れた。
金本新監督が鬼になった。観衆2000人が新体制の船出に立ち会った安芸キャンプ初日。10時開始のウオーミングアップからわずか48分で球場の空気が一変した。盗塁練習が始まって間もなく、活気あふれる選手の掛け声が一瞬、やんだ。
「返事!!」
背番号6の怒号が響き渡り、その場がピリッと張り詰めた。練習の状況設定は走者一塁の場面。投手役の田面はマウンドから、リードを取る伊藤隼へけん制球を投じ、返球を受け取った。このタイミングで指揮官から「盗塁されんなよ」と声が掛かると、緊張していたのだろうか…育成右腕は消え入るように返事したものの、一塁側ライン沿いから視線を注いでいた指揮官に届くはずもなく、逆鱗(げきりん)に触れた。
朝9時37分、金本監督は観客席の喝采を浴びて球場入りした後、ナインの円陣を前に「あいさつと返事の大切さ」を説いた。チームプレーに欠かせない基本姿勢をあえて伝えたが、訓示から1時間もたたない中で徹底できない選手の存在にもどかしさを感じた。
「いきなり田面が返事しなかったから、ちょっと怒ったんだけど…。言ったその日に返事がないのはどういうことかと。言った1時間後にそんなことがある。返事とあいさつは大きな声で…。小学生じゃないんだから」
金本新監督は就任会見で「僕は気が優しい。鬼にはなれない」と語り、「カミナリ?そこらへんはコーチに任せようかな」と話していた。低レベルなことで声を荒らげたくない-が本音だろう。モットーは「厳しく、明るく」と発信し、勝つために「結束することが大事」だと言う。かつて原巨人の強さを「監督の怖さ、厳しさは絶対にある」と話していた。結束を妨げる要素があれば、「禁」を解かざるを得なくなる。
ほとんどの野手に声を掛け、ときにジョークを交えチルドレンたちと交流した。選手の息づかいを感じることで結束につながる-そう信じている。初めて足を運んだブルペンでもできる限り投手の球筋に目を凝らし、怒りの矛先を向けた田面の投球も捕手の背後からジッと注目した。
8時間15分に及んだ新指揮官のキャンプ初日。金本新監督は「改革」のためなら、鬼にもなる。