もっとアピールせよ－。阪神・金本知憲監督（４７）が１９日、高知・安芸での秋季キャンプを振り返り、物足りなさを指摘した。首脳陣がチャンスを与えたくなるような貪欲な姿勢を見せてほしい。改革を断行する指揮官が、選手のさらなる意識向上を求めた。

　明るく、厳しくをモットーに行った秋季キャンプ。厳しい練習メニューを選手に課したが、金本監督は心の底から満足してはいなかった。

　「まだまだ物足らないですね。こちらが発信して動いている感じがある」。足らないと感じた部分は選手の自発性。「何も言わなくても全員やってくれるのが理想」と首脳陣が促さなくても、自発的に動いてほしい。

　もっと、もっとアピールせよ－。「ガツガツ感」「グイグイ感」という言葉で表現し、貪欲な姿勢で練習に取り組むことを求める。例えばランニングひとつにしても、グイグイ、ガツガツと走ってほしいのだ。

　当然、全ての選手に当てはまるわけではない。指揮官が「おとなしめの選手」としたのは荒木だ。「いいものを持っているのに、もっとアピール感がほしい」と期待を込めてゲキを飛ばした。陽川にも、同様のアピールを求めた。

　その姿勢こそが、試合に出場するチャンスを与えるきっかけとなる。ただ打っている、投げているだけでは伝わらない。「来年絶対俺を使えよと。一回でも（チャンスを）やろうかなくらいのね」。そうした雰囲気を醸し出す選手を将は大歓迎する。

　視線の先には来春の宜野座１軍キャンプがある。選手がどんなアピールを見せてくれるのか。そこに大きな期待を寄せている。

　大失速で屈辱的なＶ逸となった今季。選手の精神的な弱さが露呈されたことも原因のひとつだ。改革を断行し、１１年ぶりのリーグ制覇を目指す来季の金本阪神。選手が意識をガラリと変え、強靱（きょうじん）な精神力を持てば、頂点はグッと近づくと指揮官はにらんでいる。