阪神・金本知憲監督（４７）が１０日、西宮市内の球団事務所で、呉昇桓投手（３３）に代わる新外国人獲得に向けた極秘会議に出席したことが分かった。前日９日、呉昇桓が韓国での不法賭博容疑で同国の検察から召喚調査されたことを受け、残留交渉を打ち切る可能性も浮上。この有事に指揮官自ら新守護神の選定作業に加わり、候補リストから一本化したもようだ。

　チーム構想が崩れかねない緊急事態に指揮官自ら動いた。呉昇桓の賭博問題で揺れる球団事務所には、この日も大勢の報道陣が押し寄せていた。金本監督はそんな喧噪（けんそう）をよそに、球団が非公表で行った極秘会議に参加。有事に備え事前にリストアップされていた投手の映像に目を凝らしたようだ。

　球団関係者が「何十人もいるわけではない」と話していたように、既に数人に選定されていた映像を初めてチェック。担当者らとさまざまな意見交換も行われたと見られる。

　日本野球への適応力となれば、読み切れない部分も多い。球種、制球、クイック。あるいは性格面に問題はないのか…。あらゆる議論を重ねた中で、この日、これまでメディアに報じられていない候補投手で一本化されたもようだ。

　一気に事態が動いたのは前日の９日だった。韓国・ソウルで呉昇桓が不法賭博容疑で検察から召喚調査された。報道では、呉昇桓側が賭博容疑についておおむね認めたという。また、在宅起訴が検討されているとの報道もあった。

　球団側が事実確認できていたのは召喚調査を受けたことのみで、四藤球団社長は「詳しい話を聞いてないのでコメントできない」と話したが、仮に在宅起訴されれば、交渉打ち切りの判断を下すこともあるかとの問いに「する必要があると思いますね」と、球団としての方針を明確にした。それを受ける形でこの日の会議が行われたが、もちろん、急転潔白が証明される可能性もゼロではない。

　金本監督はかねて「呉昇桓ありきで計算しているから。いないと困ってしまう」と話しており、来季の戦いに必要不可欠と考えていた。ただ、事態の先行きが不透明なため、無期限に静観するわけにもいかない。現場の長として判断を下さなければならないタイミングで迅速に次の一手を打つ。想定外の事態がどう転ぼうとも、金本監督は最善の策を練り、開幕に向けて準備を整えていく。